端から勝負が決まっている食事。

夏の観光地。
昼時、何人かであちこち
見て歩く。


どこもヤクザな値付けを
している。

おまけにうまそうではない。



中のひとりが騒ぐから仕方なく
近くの店に入る。

ほぼ満卓の店内。


おねえさんは見向きもしない。
十分ほど放置され席に通される。



メニューは横文字が多く、
一見してどんな味がするか
分からない。

たくさん食いたいので洋風定食
ごはん大盛を頼む。



カニクリームコロッケ、
いもコロッケ。
消しゴム大のとんかつ、と思えば

チキンカツ。

マカロニサラダ、葉もの少々。

カップのコンソメスープ。
皿に盛った飯。



揚げ物は全て絶妙な温度で
供される。


決して熱くなく、といって
冷めておらず猫舌も安心して
食べられる。

俺は猫舌ではない。



「カニクリーム」とあるが
カニはどこにいるのだ。

クリームは水のように流れる。


いもコロッケは粉っぽく

カツはカチカチ。

噛み切れず、無理に齧れば
口に広がる廃油の香り。



「手作りにこだわってます」
と店内の貼紙。



葉ものはくしゃくしゃとしおれ、ドバとドレッシング。

飯は子供用茶碗一杯を皿に
平たく伸ばしたほど。


マカロニだけを頼りに飯を食う。



これで千二百八十円。
ごはん大盛が二百円。

あわせて千四百八十円。
末尾の八十円が憎たらしい。


俺が白竜みたいな顔なら、
絶対こんなもの出さないくせに。






学校、病院の食堂も食う前から
勝負がついている。

スキー場、遊園地もそうですね。



テレビで千葉鼠園の食事を
紹介していた。

二本足のネズミの絵が付いただけで

千円二千円上乗せする。


ビールも飲ませないらしい。
没義道であります。

大枚はたいて足を棒にし、
挙句この仕打ち。


しかし入園した時点でこちらの
負けは決まっているのです。





昔、好きな子と何かの記念で
一緒に夕飯を食べる。


ろくに調べず新宿のレストランに入る。



異臭放つサラダ、焼肉はぬるい
油漬け、グラタンに火は入って
おらず、パンは干からびる。



はじめ暗い顔で食べていた二人。

コースが進むにつれ、笑いが
こぼれる。


まずすぎて笑う。

次はどんなものが出るか
ワクワクする。


食事が終わればすっかり上機嫌。

店を出るなり
「まずかったねー」と
二人で叫ぶ。


試合に負けて、勝負に勝った

と言えるでしょう。


[ 食べ物 ] 07/07/22 (日)