シンセサイザーが欲しくてたまらなかった。




間近に見た最初は、小学校の課外授業。

同窓生の父親である富田勲さんが

自分の器材を持ってきて講義をしてくれた。


部屋中シンセでいっぱい。

当時YMOに身も心も奪われていた私は

初めて目にするシンセの数々にうっとりした。


大きさに驚いた。

三段のカラーボックスを、横に三つ並べた

程の音源モジュール。
鍵盤は別に取り付ける。

箱にはダイヤルと孔が沢山ついている。
コードで孔と孔を繋ぎ音を作る。

目の前で実際に音を作り

デモまでしてくれた。





シンセが欲しい。
だけど高い。安いやつでも十万。

小学生には手が届かない。

友達の家にあったやつを

一晩の約束で借りる。


コルグの小さなシンセ。
電子レンジ位のサイズ。




興奮して電源入れる。
が鍵盤を押しても音は出ない。

昔のブツはプリセットされた音色など用意されて

いないから、自分で一つづつ作るしかない。

ダイヤル回し、手探りで一晩。

音が出た時はホント、うれしかったです。





シンセは欲しかったけど、初めて買った

のはドラムマシン。

小さな液晶が付いていて、画面を

見ながらトラックを作る。


ヘッドホンの端子があり、電池でも動く小さな機械。
どこでも持ち歩いて、いつもいじっていた。

可愛くてたまらない。





サンプラーという新しい機械が世に出た。
自然界の音を取り込み、音色として使う。

すげえ!

細野さんのソロアルバムはそれで

作られたと聞きますます欲しくなる。

会社の名前はエミュ。機械の名はエミュレーター。

でも三百万。




楽器屋に行っても置いていない。
代理店に大人びた声で電話し

カタログ請求する。


送られたカタログは横文字だったけど、青くて

角張ったボディ格好良く、毎晩ベッドの中で見た。





友の紹介で細野さんと会うことが出来た。夢が叶う。

作ったばかりのスタジオで対面した細野さんは

くたびれきっているのに、中坊の私に親切だった。


ものを作るなら、人の言う事を真に受けてはいけない、

けなされてもほめられても、と少し怒ったように細野さんは言った。


先のソロもこのスタジオで作られた。

当然エミュレーターもある。
カタログで見た青色のボディはもっと色濃く大きい。

5インチのフロッピーを入れ細野さんは

自分でサンプリングした音色をいくつか聞かせてくれた。


スタジオでの四十分、体がふわふわ浮いて

とても現実の事とは思えない。

軽く吐きたくなるほど幸せでした。

ありがとうございます細野さん。





書き忘れてたけど私は楽器出来ません。
なのに何故シンセに憧れたのか?。

YMOが大好き、というのが一番の理由です。
持てば細野さんみたいになれる、という思い込み。


またアナログシンセはブツとして非常にカッコよかった。

扱いが難しくて高い。
角張って重くて会社ごとに色んな顔、音を持つ。
カッコいい!。


モノに対する憧れはそれ以降なくなりましたが

今でも中古楽器屋でシンセを見かけると

そっと触ってしまいます。