問5 遊戯療法と最も関係が深い人物として、正しいものを1つ選べ。

①A.Ellis

②A.Freud

③A.T.Beck

④H.A.Murray

⑤J.B.Watson

 

①A.Ellis

➡✖論理療法

ABC理論

•ABC理論とは、人の悩みを生み出す過程を整理した理論です。具体的には以下に示す3つの要素を想定します。

Activating event:出来ごと
Belief      :考え方
Consequence   :感情

•この3要素のアルファベットの頭文字がABCなので、ABC理論と言われています。具体例で考えてみましょう。

A:出来ごと
→職場で上司に怒られた
B:考え方
→上司は私を期待外れと思っているに違いない
C:感情
→会社に行くことが辛い

•このような流れになります。

•一般的には、AによってCが起こると考えます。上司に怒られた!だから会社に行くことが辛い!と考えるのです。

•しかし論理療法では、Bの考え方が悩みの根幹であると考え、このBを徹底的に考えていくのです。

•イラショナル・ビリーフとは

論理療法では、考え方には

•ラッショナル・ビリーフ
…合理的な考え方、現実的な考え方、柔軟な考え方

•イラショナル・ブリーフ
…不合理な信念、非現実的、ねばらならない、過剰な悲観

の2種類があると考えます。合理的な考え方ができる方は、物事を現実的に把握し、メンタルヘルスは良好です。

一方で不合理な信念を持つ方は、感情の振れ幅が強くなり、イライラしたり、落ち込みやすくなります。

•外在化

•外在化とは、自分の感情や考え方を、客観的な状態として把握できるようにする手法です。具体的には、紙に自分の感情や考え方を書き出して行います。

•自分の考えを紙に書いて、外在化すると、自分がどんな考えを持っているのか?その考え方が現実的なのか?と検証しやすくなります。

•カウンセラーは自分

•セルフヘルプとは、自らが理論と技法を身につけ、それらを日常生活で実践することを意味します。悩みを抱えている人が自分自身で実践して悩みを減らすのがセルフヘルプの目的です。

•自分自身で実践していくということは、つまり自分のカウンセラーは自分ということです。このセルフヘルプは、理論の中でも特に重要視されています。

•論駁とは

•論理療法では、非合理的なイラショナル・ビリーフを、合理的な考えであるラショナルビリーフに変えることで悩みが解消されるとしています。

イラショナル・ビリーフを変化させて合理的な考えを行うことを

「論駁(ろんばく)」

と呼びます。論駁をする上で以下の3点を強調しました。

・事実に基づいているか?
根拠ない思考は不安や恐怖、怒りにつながることが
多いため、まずは事実確認を行いましょう。

・論理的な考えか?
感情的な考えに巻き込まれてしまうと、
悩んでも仕方のないことを繰り返し考えてしまいます。
自分の考えは論理的か?を意識しましょう。

・人をハッピーにするか?
人を不幸にする考え方は非合理なものであることが多いです。
自分や他人が幸せになる考え方か?を意識しましょう。

 

このようにラショナル・ビリーフで出来事を考え直すと、今までとは違った状況を想像することができます。合理的な考え方を身につけると、起こる可能性が少ない出来事で悩む機会が減ります。

②A.Freud

➡〇遊戯療法、児童分析、自我の防衛機制

Sigmund.Freudの娘

遊戯療法は、子どもに対して用いられる遊びを媒介にした心理療法で、「プレイセラピー」とも呼ばれます。

子どもは自己表現能力や自己理解が未熟なため、言語を媒介とした心理療法では十分な治療効果が得られないという考えから、フロイト,A.やクライン,M.らにより遊戯療法が開発され、アクスライン,V.によりさらに展開。

•現在は、さまざまな理論的立場による遊戯療法が存在しますが、共通する機能としては、遊びという行為を通じてのカタルシス効果、治療者に受容・共感されることによる信頼感の構築、自己の内的世界の気づき促進、適応的で肯定的な対人関係の育成などが挙げられます。

•なお、幼児期のクライエントに大きな影響を与えている親に対しても援助を行うことが、親子関係を安定させるために重要であり、また、これが結果的に子どもの問題改善につながってくることが多くあります。

③A.T.Beck

✖認知療法。

認知療法は認知行動療法の中に含まれる治療法です。社会生活技能訓練(SST)が行動に軸足をおく治療法とするなら、認知療法は認知を重視すると言えます。忘れてならないのは、感情の問題を緩和するために認知から迫る、というのが認知療法だということです。気分が滅入ったり、不安に押しつぶされそうになっているときに、認知に修正を加えることができるなら、苦しく不愉快な感情が穏やかになることが期待できるのです。

•認知(思考・イメージ)=心のつぶやき

認知療法が扱う「認知」とは耳慣れない言葉ですが、思考やイメージを指しています。「心のつぶやき」は認知を言い換えたものです。

•自動思考 automatic thoughts , スキーマ schemas

認知療法の基礎にある認知モデルは、認知と感情・行動との関連についてこう考えます。「ある個人の感情と行動は,その人が自分のまわりで起こる出来事をどう考えるか(認知)によって規定される」。認知療法で重視される認知は自動思考とスキーマです。自動思考は、何らかのきっかけがあるとそれに伴って自動的・習慣的に、意図せず脳裏に浮かぶ思考やイメージのことです。スキーマあるいは信念は過去の経験から形成され、恒常的で、個人に特異的な認知です。

④H.A.Murray

➡✖TAT創始者。(主題統覚検査)

*TAT    TAT(主題統覚検査)は「Murray,H.A.(マレー)」らによって考案されたパーソナリティに対する投映法の検査です。
 多様な受け取り方を許す場面を描いた「30の図版と1枚の白紙」の図版から何枚かを見せ、それぞれの物語を作ってもらいます。
 TATはマレーの「欲求圧力理論(欲求圧力分析法)」を基盤とし、「被検者が葛藤状況をどのように認識し、どのような対処行動を行っているか」といった性格・行動傾向から、パーソナリティを明らかにしていくという特徴を持ちます。
 TATを通して物語を語ること自体が「治療プロセス」であるとも考えられています。

⑤J.B.Watson

➡✖行動主義、S-R理論

ワトソンは心理学の目的は行動の法則を定式化し、行動を予測し、それをコントロールすることであると論じ、行動の単位は刺激反応の結合からなるとした。

 

よって正解は②

簡単に解ける問題であり、消去法でも行けるため、得点したい問題であるが、S.Freudと勘違いされた方もいると思われれる。