今回はカリフォルニア州サンルイスオビスポ郡の
San Simeonの丘にそびえ立つ
Hearst Castle ハーストキャッスル
を訪れた際の写真を載せたいと思います。
アメリカの新聞王、
William Randolph Hearst
ウィリアム ランドルフ ハースト
によって1919年から1947年の間に建設され
なんと敷地面積約8,400 m2の中に、
約6,000 m2のお城がある(!!) ということです。
そんな広大な敷地、建築物なので
ガイドツアーの種類もエリア別に複数ありますが、
今回はハースト家の人々が使用していた寝室などが見れる
$30 ドル 、70分間の Upstairs Suites tour というものに参加。
まずVisitor Centerで受付、そこから専用バスに乗り込み
15分位丘をあがった先に巨大な建物が!
カサグランデ(スペイン語で大きい家という意味)と呼ばれるメガマンションがこちら💁
ガイドの男性に案内され、
まずは外にあるネプチューンプールへ
Lady Gaga の G.U.Y.という曲のMVで使われているのですが 白大理石のローマンスタイルで本当に美しい
そしてお城の隅にある小さなドアから階段を上がっていき、今回のUpstairs Suites tourが始まります。
まずは小さなゲストルームから。
ひゃー 何から何まで煌びやか。
ガイドさんが、壁や天井の絵などは大体がエージングを施したレプリカですが、ハースト氏が世界中から収集した美術館クラスの絵画やライト、花瓶などの装飾品や調度品などはほとんどが本物と言っていました
こちらは豪華なDoge's Suiteと呼ばれるお部屋。
16世紀のイタリア・ヴェニスのDoge's palaceを真似た象徴的なスイートルーム
バルコニーから見える景色も格別
ハーストキャッスルの設計者 Julia Morganはハースト家の建物を手掛けていた女性建築家。
カリフォルニア州立大学で女性として初めてエンジニアリングの学位を取得。その後パリのエリート学校で建築士の資格を取った初めての女性となったそうです。
ハースト氏が10才の時に母親とヨーロッパ周遊をして その際見たイタリア、スペインなどの建築を気に入り、ジュリア・モーガンに設計を依頼したのだとか。
幼い時から美術への情熱があり、母親に『ルーブル美術館を丸ごと欲しい!』と話した、という逸話があります。
ハースト氏について。
私はウィリアム ランドルフ ハーストの事は知らなかったのですが、ハースト氏の創立したハーストコーポレーション、特に日本子会社であるハースト婦人画報社の名前はファッション雑誌で聞いた事がありました。
ELLE, 婦人画報、Harper's Bazaar, Esquire, 25ans,
休刊となってしまった Marie Claireなど誰もが目にした事のある有名な雑誌ばかり。
ハーストコーポレーションが手がける新聞については
ヒューストンクロニクルなど15の日刊紙、49の週刊誌、
ハーストテレビジョンなど複数のメディア、放送局、ネット局など。
ハースト氏の父がゴールドラッシュで銀鉱山を当て富豪となり、ギャンブルの支払いとして手に入れたサンフランシスコエグザミナーという日刊紙を、息子ウィリアムに譲った、これがハーストコーポレーションの始まりとされているそうです。
プライベートでは、元ショーガールのミリセントと結婚した後、5人の息子をもうけましたが 13年後には別居。
その後はブロードウェイに出演していたマリオン デイビスを愛人にし、ハーストキャッスルで数々の著名人をゲストに招きいれながら共に暮らしていたとの事。
マリオンのパトロンになり、映画会社 コスモポリタン社を設立し、彼女をヒロインに20年間で46本もの映画を制作するも 演技は不評で、新聞社の経営危機により引退。
ハースト氏と言えばマリオンデイビスを思い起こす人が多いほど公認の仲だったようですが、妻のミリセントとは生涯離婚はしなかったようです。
ツアーに戻って、
今回の見どころの一つ、ライブラリーへ。
巨大な部屋の壁際にずらりと並ぶ本棚はレプリカとの事。
150ものギリシャのアンティークの壺が本棚の上に飾ってあります。
ここでは城に招かれたゲスト達が集っていたそう。
オスカー女優ジョーンクロフォード
『風と共に去りぬ』のクラーク ゲーブル、
チャーリーチャップリンなどハリウッドスターから、
ご存じディカプリオが演じたアビエイター ハワードヒューズや英国首相ウィンストンチャーチル、そしてウォルトディズニーなど政財界の大物まで、厳選された華やかな面々ばかり。
特に愛人のマリオンがホストとなり夜な夜な開かれるパーティーは好評だったよう。俳優としてもコメディアン的な才能はあったようです。
信仰深い人物でもあったようでキリスト教の像や十字架が至る所に。
クローゼットもチラッ
マリオンデイビスの部屋。
なんとハースト氏は34歳も年の離れた愛人を満足させられないと承知の上で マリオンに恋人を作るのを許していたのだとか。
なんとチャップリンとも恋仲だったそう。
こちらはプライベートライブラリー兼書斎
こちらはCelestrial Suite
城のベルタワーの1番高い場所に位置し、モロッコ風の格子窓から黄金色の日差しが差し込み名前のとおり 天界のごとく神々しいスイートルームとなっています
廊下からの景色。
ピーク時にはこの丘から見渡す限り全ての土地を所有していたとか。
『市民ケーン』という映画はウィリアムハーストをモデルにしたとのこと。
AFI (American Film Institute)をはじめ多くの映画評論家団体からベストフィルムに選ばれている有名な映画です。
1941年の公開当時にはモデルになったハースト氏本人から上映妨害運動がなされ、アカデミー賞作品賞など9部門でノミネートされながらも脚本賞のみの受賞にとどまったということで、当時ハースト氏がどれほどの権力を持っていたかがわかります。
そしてDella Robbia Roomと呼ばれるゲストルーム
こちらがガイドさんもお気に入りと言っていた
最後はわたしの1番のお気に入り、Roman pool。
天井から壁面、プールの中まで美しいモザイクタイルの装飾が
ムラノガラスのタイルは職人達が全て手作業で作成し5年かけて完成させるも、療養中だった設計者ジュリアモーガンが戻って確認してみると、あまりに真新しく完璧すぎて気に入らないと、なんと作り直しを指示
タイルを剥がしモルタルが見えるようタイルを貼りなおし、拳でタイルを割り、古代ローマの建築物のような古めかしい風合いに見えるようにしたのだとか。
広大な敷地内にはプライベート動物園を備えていて
当時は熊やシマウマ、鹿や羊などたくさんの動物がいたそう。
165部屋、41の暖炉、3棟のゲストハウス、屋内外2つのプールにテニスコート、4000冊を超える本を所蔵するライブラリー、シアターにビリヤード場、巨大なパーティルームなど、とても個人が所有していた豪邸としては信じられない規模。
ガイドさんが言っていた、『正直ここまで富が集中してしまっていた事は喜ばしくはないが、このような他に類をみない素晴らしい建築や装飾品を紹介出来る私は幸せです』という言葉が印象的でした。
1957年にカリフォルニア州に寄付された後は、有名な観光地として毎年70万人もの人々が訪れています。
とにかく私利私欲全て満たす豪華絢爛のお城で他のツアーにも参加したくなりました!