この3連休の中日。
江戸東京たてもの園で前川國男生誕120年記念のイベントがあり参加してきました。
建築史家の藤森照信さんと前川事務所で旧前川邸の移築・復元を担当された中田準一さんの講演を聴きました。
その後、園内に移築されている旧前川邸を中田さんの解説とともに見学。
充実した時間を過ごすことができました。
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中田さんは大学の大先輩でもある。
大学4年の時に、水煙会(建築科のOB会)の名簿でその名をじっと見つめた記憶が・・・。
就職先として、前川國男建築設計事務所を訪ねてみようか、どうしようか・・・
と、まさに逡巡し、結局電話をかけることすらできなかったという、ちょっと情けない記憶があるのです。
若い頃は、自分自身にコンプレックスばかりを感じていたのですね。
でも、今回きちんとご挨拶することもでき、何かがまた一つストンと心に落ちたような感じを得ました。
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今年、国の有形文化財として登録のかなったさいたま市の「星野家住宅主屋」。
ヘリテイジマネージャーとしてその所見をまとめるにあたり、なんとかして設計者の「土屋巌」にスポットを当てたい。
そんな想いで前川國男に師事した土屋氏を調べようとしましたがほとんど文献は残っておらず、必然的にそれならばと、
修業を積んだ前川事務所での事を調べることで、建築家・土屋巌を浮かび上がらせようと考えました。
そしてそれは、当然、前川國男を知ることになり、知れば知るほどに、「建築家・前川國男」の魅力に取りつかれていきました。
作品はもちろん素晴らしいのですが、その一つ一つにかける想い、所員へのまなざし、建築家としての矜持と、
そのあるべき姿を求めての、社会との闘い・・・。
もう、何から何までもが、建築に生きる人間の理想の姿と思えてならなくなりました。
幸い、さいたまには、埼玉会館と、県立博物館という前川國男の素晴らしい作品が現存しています。
そして、土屋巌はそのほとんどの作品が埼玉県内にあるのです。
しばらくは、土屋巌と前川國男に関することを時間のある時に漁ってみようと思ってます。
でもあまりに楽しくて、現実逃避の場所にならないように気をつけないとね・・・。
と、このブログがすでに目の前の設計からちょっと逃げているという事実・・・。
さいたま市の設計事務所 創順居アトリエ 直井建築設計室 http://naoi-boo.com