バンフに行こうと思ったのは、三年前、アラスカを旅行で訪れた際、出会った日本人の大学院生が、カナダの湖がめちゃキレイだったと言っていたのがずっと頭に残っていたからだ。


その湖がどこにあるのか、何て名前なのかは、忘れてしまった。
でもおそらくこの辺だろう、と目星をつけた。

もしかしたら違うところだったかもしれないけど。

その子の言っていためちゃキレイな湖というのを見てみたかった。

そんな訳で、今年の夏休みはバンフに来た。

他の同僚とかぶらないように夏休みをとろうとしたら10月になってしまった。
だが、代わりに、体育の日とあわせて連続10日間とった。

そんなに長く職場をあける事に不安がない訳ではないが、一年に一回の一大イベントをけちりたくはなかった。

バンフへは、カルガリーという街まで飛行機で向かい、そこからバスで移動する。

観光シーズンなので成田からカルガリーへの直行便もあったのだが、めちゃ高かったのでそれにはせず、バンクーバーへ国際便で向かい、国内線に乗り換えてカルガリーへ向かうことにした。

料金が安くて中華系じゃなくて、さらに米系でもないのを選択するとエアカナダが一番良さげだったので、バンクーバーまでの往復はエアカナダを選んだ。

バンクーバーからカルガリーの往復はエアカナダとウェストジェットがあるのだが、ウェストジェットの方が割安でカナダ国内線ではエアカナダ並みの信頼感があるらしいのでウェストジェットにした。

乗り換え時間はぎりぎりだと心配なので3時間程は開けるようにした。
何らかの理由で到着が遅れたり、入国手続きでなんかあったら乗り遅れてしまうからだ。

案の定、出発が30分程遅れ、結果、到着はその分遅れた。
3時間開けるのは長すぎたかな、と思ったが、なんだかんだでちょうど良かった。

カルガリーに着き、バンフ行きのバスはどっからかな、と看板のバスマークを手掛かりに歩き出した。

バンフエアポーターには事前にネット上で予約をし、料金も支払い済みだ。
しかし、チケット的なものの発券がなく確認メールが届いただけだったから、そのメールをスクリーンショットして保存しておいた。

バンフ行きのバスがどこから出てるのか調べて来なかったので、空港のwifiにログインし、ネット検索する。
誰かがバンフエアポーターの乗り方をブログに書いてくれていた。

スタバの並び、とある。
あれ、スタバ?通り越したな、と、戻ると、バンフエアポーターのカウンターがあった。

wifi+スマホの環境はホント便利。

以前だったら、手当たり次第に人に聞いたり、事前に全てきっかり調べて来なきゃなんなかった。

出発前に声をかけてくれるらしいからカウンター目の前のソファでくつろいでいた。

すると、次々と人が私の両隣に座りだした。

バスの出発時刻が迫りバススタッフが何か言っているので、ついて行こうとした。
すると、カウンターのだいぶ肥満なお姉さんが、ちょっと、と声をかけてきた。

チェックイン済ませた?
いいえ。
ラストネームは?
◯◯…◯◯◯◯。
ラストと言われたのにファーストネームを答え、はっ、と気づきフルネームで答える。

バスがバンフに向かって走りだす。

空が広い。
雲が七色に光っている。

こんな雲の色あるんだな、とぼんやり過ごす。

そんな間、距離をおくことになった彼氏のことをずっと考えてしまっている。
今後、どうなるんだろう、どうしたらいいんだろう、と。

私は相手に感謝することを忘れて、相手を信用できない自分の感情にいつも振り回されている…。


そうこうしているうちに、バスはバンフの町に着いた。

私はいつも通りバックパッカー宿をブッキングドットコムで予約していた。

samesun banff。
欧米人からは高評価な様だ。
女子部屋が良かったけど、空きがなく、mixになってしまった。

所謂、高給取りになった今もあえてバックパッカー宿に泊まるのは一人が寂しのと、サバイバル感はあるけど、それで十分だからだ。

でも、mixはなぁ…。
ちょっと嫌だったが、他にはないので決めることにした。

フロントのお兄さんは丁寧に英語で説明してくれたので、内容は多分全て理解できた。

ドミトリーの部屋はけっこう広く、二段ベッドはスチールで軋むし、ベッドマットはふかふかすぎてけっこう沈むが寝心地は悪くない。

荷物をひととおり片付けると、空腹を感じたので、ガイドブックに載っていたエディバーガーというハンバーガー屋さんに向かった。

人気店らしく、30分待ちという。

店員のお姉さんが30分後に戻ってくればいいと言うから、そこに決めてしばらく町をうろついた。

お店は観光地にありがちなものばかり。
なんだか、ニュージーランドのクイーンズタウンに似てる。

初日なので、ビールを注文した。
普段ビールなんて飲まないくせに。

若干の寂しさを紛らわせたかったんだ。
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