北アルプス 涸沢テン泊 奥穂高岳−北穂高岳縦走
2025年8月16〜18日
〈2・3日目〉
奥穂高岳(3190m)
涸沢岳(3110m)
北穂高岳(3106m)
2日目
憧れの涸沢でのテント泊。
夜中に雨が降っていたけど、上がるだろうと、あまり心配せず。
が、風が思ったより強く、何度も起きてしまった。
起きる時間になっても風がおさまらず、今日はダメかも、と弱気に。
それでも外に出てみると、テントの中で感じるほどの強風ではない。
山にはガスがかかっているけど、県警の予報はよかったし。
準備して、モルゲンロートを待ってから出発することに。
予定より1時間ほど遅れて出発。
涸沢小屋の脇から、登山道に入る。
緑の茂る登山道が終わると、大きめの石の道。
でも、長い間登られてきたルートだからか、石が落ち着いていて歩きやすい。
ザイテングラートが間近になった。
ザイテングラートに取り付く前に、体制を整える団体さん。
ガスは、張り出してきたり、引っ込んだり。
ザイテングラート自体は、登りだったので、あまり怖いと感じなかったけど、右手の砂礫の斜面で、落石が発生。
70ℓザックくらいの岩が、周りの礫を巻き込んで落ちていく。
ルートではないのでよかったが、近くにいた他の登山者と、思わず顔を見合わせて、「怖いですね」。
小屋のアンテナみたいなのが見えてきた。
もう少しだけど、ガスがとれないなぁ。
穂高岳山荘に到着。
風が強い。
エネルギーを補給しながら休憩しても、ガスは晴れず。
登りはじめる。
後からわかるが、このルート、登りはじめが一番険しい。
涸沢側は、晴れがちだけど、右手の谷からガスが上がってくるんだなぁ。
風が強くて、冷たくて、顔が痛い。
今日のルートは、涸沢を中心に周回するので、小屋とテント場の、この景色は何度も見るだろう。
下山の人が、もう少しですよ、と声をかけてくれる。
近くにいた男性が、ジャンダルムは見えましたか、と聞いたけど、しばらく粘ったが見えなかったと。
山頂が薄っすらと見えてきた。
山頂に近づくにつれ、「虹が見える!」と女性の華やいだ声。
ガスがあればこそ、なんだが…
ガスのなか、奥穂高岳、登頂。
その場にいた全員が歓声を上げる。
ある意味、はじめから晴れていたより、ずっと劇的な対面だ。
そりゃ、喜ばずにはいられない。
ジャンダルムだけでない、すばらしい景色を堪能できた。
7月に登り、また他の山から「ああ、槍が見える」と思うんだろうな、と思った槍ヶ岳も。
「ジャンダルムは見えましたか」と聞いていた男性が、向かっていく。
山頂で見えなかったと言っていた下山の男性も、途中で振り返って、この景色を見れていたらいいな、と思う。
興奮が冷めないなか、下山開始。
槍ヶ岳のガスも薄くなり、これから向かう北穂高岳のガスもとれている。
手前の涸沢岳、奥の北穂高岳。
すばらしい景色。
一旦穂高岳山荘で休憩。
さて、あのすばらしいけど、険しいルートを歩くのか?
が、ここから先、登山者の数がグッと減る。
不安と期待。
不安の方が大きい。
岩場のルートは、白ペンキの○や矢印が命綱だけど、ちょっと数が少なくない?
全然ルートが想像できない。
どこをどうやっていくんだろう、と先の心配をすると不安になるので、とにかく、今越える場所のことだけ考える。
決められたルートは必ずあるから。
登りのルートが見える。
案外近いか?
全然遠かった。
一株の弁慶草と北穂高岳。
鎖場をトラバース。
とにかく、鎖場が長いし、次々でてくる。
でも、鎖があるということは、歩き方がある、ということだ。
とにかく、落ち着いて集中。
自分に「集中」「集中」言い過ぎて、それ自体が惰性になってないか心配になる始末。
そこに見えるのに、まだ下りだ。
谷も緑色だと少し、マシ。
イワキキョウ。
すごいところに咲いてる、と思うのは人間だけか。
やっと、下りが終わった。
風が思ったより吹かず、助かった。
平らなコルでしばしの安息。
エネルギーを補給して、気合いを入れ直して。
登りの開始。
たまに、反対方向に向かう登山者や、抜かしていく登山者と出会う。
長い時間、ひとりで緊張しているので、そういう人たちと、言葉を交わして笑ったりしている自分の声を聞くと、少し安心する、という変な感じ。
上への岩登りより、鎖もないトラバースが怖かった。
怖すぎて、写真が一枚もない。
こういう岩の先っぽに立てる人っているなぁ。
でも、先のところ、ヒビが入ってる。
越えても越えても、岩壁が出てくる。
少し、ガスがあがってきた?
ガスに巻かれたら、ルートがわかるだろうか。
頼むから、待って!
でも、反対からきた男性が、もう少しだよ、と。
北穂高岳には、南峰があるはずだが、気付かず。
多分、この写真は、南峰を過ぎて、北峰を撮ったのかな。
やっと、難所が終わってゴールが見えた頃、岩の窪みにひっそりと、マリア像がおわす。
と、そこにソロの男性が追いついてきて、指の皮が剥けてしまったと。
絆創膏を出して、貼ってあげて、マリアさまの前で、露骨に徳を積む私。
お陰かわからないけど、無事、北穂高岳、登頂。
この日の登頂写真で、一番冴えないけど、一番価値がある。
晴れていれば、槍ヶ岳が後ろに見えてるはずなんだが。
奥穂高岳での奇跡的な山頂も、苦労してたどり着いたガスガスの山頂も、その時々の出会いだ。
来た方向を見れば、ガスが濃くなっている。
たどり着いていて、よかった。
山頂直下の北穂高小屋へ。
ここは、槍ヶ岳から大キレットを越えて縦走してきた人たちもいるはず。
すごい。
もう、来られないかもしれないからね。
着いたら食べようと決めていた。
○○シェフ監修とかの、おしゃれなカレーもあったけど、小屋のカレーということで、まかないカレーを選択。
豚バラの脂が、柔らかくて癒される。
お皿の青いマークは、イワツメクサをモチーフにしたそう。
さて、あの安全な場所に帰ろう。
下りもかなりの傾斜だけど、切れ落ちる高度感はない。
充実感に浸りながら、途中で豆大福。
至福。
登りのソロの男性に道を譲る。
この日のルートを聞かれたので答えると、「おめでとう!」と握手を求められた。
私がうれしそうだったからに違いない。
無事、戻ってきた。
と、思ったら、戻りの登山道周辺で、ニアミスがあったらしい。
無事に山行を終えるまで、とっておいたビール🍺。
半分くらいまで一気飲み。
これがなかなか、わかりやすかった。
イマイチの夕食を食べて、
あとは、テントから、ボーッと暮れていく山を見て過ごした。
涸沢テント場での2泊目。
眠ろうと目をつぶると、険しい岩壁を降りようとしている場面が浮かんで、目を開けてしまう。
どんだけビビりなんだ。
3日目
最後の朝。
涸沢からの、山々も見納め。
重くて持ちにくいコンパネも返却。
でも、お陰で快適だったよ。
お世話になりました。
さくさく、下る。
渓流と、自分の影の記念撮影。
人懐こい小学生の男の子とおしゃべりしたり、小屋ごとに休んだりしながら、上高地まで戻ってきた。
河童橋は、すごい観光客。
負けじ、と初日は見られなかった、この景色を写真に収める。
インフォメーションセンターでシャワーを使ってさっぱり。
3日ぶりに、鏡で自分の顔を見て、びっくり。
まぶたが腫れて、特に右のまぶたは二重もなくなってる。
痛くも痒くもないので気が付かなかった。
バスに乗る前に、上高地食堂で腹ごしらえ。
結局毎日、カレーを食べた。
この夏のアルプスは、これで終了。
山には恵まれた夏だった。
1日目
05:50 上高地バスセンター 発
07:20 徳沢ロッジ
08:20 横尾山荘
09:35 本谷橋(引き返しロス)
11:30 涸沢ヒュッテ 着
12:20 テント場・設営 テント泊
2日目
05:20 テント場 発
06:20 ザイテングラート
07:10 穂高岳山荘(休憩)
07:55 奥穂高岳 山頂
08:55 穂高岳山荘(休憩)
09:25 涸沢岳 山頂
10:30 最低コル
11:55 北穂高岳 山頂
(休憩・昼食)
14:40 テント場 着 テント泊
3日目
05:40 涸沢ヒュッテ 発
07:05 本谷橋(休憩)
08:00 横尾山荘(休憩)
11:00 上高地バスセンター 着
行動時間
1日目 6:30
2日目 9:20
3日目 5:20





































































