2024年6月9日に中山可穂「弱法師」を読了しました
私にとって能楽と言えば、三島由紀夫「近代能楽集」と澤田瞳子「稚児桜」、そしてオペラ「卒塔婆小町/赤い陣羽織」。
特に「卒塔婆小町」はオペラで観たところなので、楽しみだなと。
読み終えて。
心をギュッと掴まれるような、恋愛小説でした。
どの作品も関係性が複雑なため、色んな立ち位置の人が、それぞれに近しい人物に感情移入できそうに思いました。
あるいは、性別や性的志向とは関係なく、誰かが誰かを切実に恋焦がれる気持ちを共有するとか。
原作の能楽を知っているかなんて、どうでもいいので、以下は蛇足。
「弱法師」は、視力を失いつつあり、脚力もなくなった朔也が弱法師ということか。
「卒塔婆小町」は、深草少将が小野小町の元に100夜通うのに準えて、深町が100篇書くのだな、と。
「浮舟」は、浮舟を巡る薫中将と匂宮に準えて、文音は薫子と香丞のどちらも同じくらいに愛してしまったのだろう、と。