9歳の頃に出会った「グライダーの少女(Helena Smahelova)」という児童書に魅せられ、大学進学先も密かにグライダーに搭乗すること優先で決めさせてもらうほど、のめり込んでいました。海外では少年少女が空を飛ぶクラブがある!想像しただけでワクワクしていました。奄美で生まれ育った私(1960年生)はもちろん実機のグライダーなんて見たこともありませんし、まだインターネットの無い時代、情報は書店で数少ない航空情報誌を探し出し読み漁るしかありません。しかしある日とうとう見つけたのです!なんと日本にも16歳から空を飛べるクラブが存在していました!!「学生航空連盟(Student Air Federation)」は読売新聞社が後援し、専用のグライダー数機と滑空場を保有し毎週日曜日に活動していました。※現在もNPO法人化され活動を継続されています。
東京の大学へ進学し、SAFに入会し初めてグライダーの離陸する瞬間を見たときのことです。微かな風を切る音だけを残し1000ftの高さまで一気に駆け昇る雄姿を見て、10年近く温め続けてきた想像通りの神秘的な佇まいにdezyabuなのではないかと混乱するほど感動しいつまでも空を見上げていたのを覚えています。
風力発電機の羽根は風を起こす為のプロペラとは違い、このグライダーの主翼のように風を受けて回転し揚力を発生させることで風のエネルギーを取り込んでいます。比較的スリムで長いブレードはこのような考え方に基づいて設計されています。
私が入社した当時の初期のブレード(GO:開発コード)は「クラークY」というグライダーの初級機に使われるようなオーソドックスな翼断面を用いていました。下面はフラットな平面で上面だけにカマボコ状の膨らみがあり、加工しやすく厚みもあるので強度を保つこともできます。しかし実機のグライダーではもっと滑空比が良く遠くまで飛べる優れた翼断面が研究されており、それらの翼断面を模倣するだけでも出力UPの課題は解決するのではないかと思えました。
実際、発電に必要な回転数と中心からの距離で大気速度を割り出し、最適なピッチ角度となるよう図面を描き直し、模型飛行機の主翼と同様に木材を削って程なく実寸大のブレード(FX:開発コード)を完成させることができました。
実験からは直ぐに満足のいく結果が得られました。ブレードを現行品のGOからこの新製品FXに切り替えるだけで今回の課題を解決することができそうです。
しかしこの後、試作から製品化への道のりは厳しく、いくつもの高いハードルを乗り越えなければならないことを思い知らされます(つづく)
