今年はもうこれといった用事は無く暇なので今年出した僕の2作品について
自己解説でもしようかと思います。

まず、夏に出した町田直隆全集第一集「未明」について。

このCDは、僕にとって初の全曲歌もギターも一発録音(要するにお客さんのいないライブ盤みたいなものです)の
「完全弾き語りアルバム」です。
そのため、歌もギターも結構ミスをしてるのですが、それがまた生々しさを醸し出していて
いいんじゃないかと自分では思っています。
こういう作品はソロになったばっかりのときに作るべきだったんじゃないかと
今更ながら思っていますが・・・。

でもきっと今作った事に意味があったんだろうな。

内容も新曲と今までライブでは演奏していたけれど音源にしていなかった曲
それに来場者特典CDにしか収録されていなかった曲、既に廃盤になっているCDの収録曲等を
再録音したある意味「裏ベスト」的な内容になっています。

次は収録曲について。


「スウィートジェーン」
この曲は実話を元に書いた歌です。この歌に出てくる二人の人物は実際今年出会った実在の人物がモデルになっています。
この歌のこの二人の主人公は世の中的には「負け組」とされる人たちです。
でもそれはあくまで人生のほんの狭い角度からみた場合にしか過ぎません。
彼らの生き方をどう思うか・・・それは人それぞれの自由です。
世の中に絶対的な答えなんか無い。自分の中に自分だけの答えを持っている事。
それが自由という事なんじゃないかと思ってこの歌を書きました。



「ひまわり」
ロンドンに行ったときナショナルギャラリーで観たゴッホの名画「ひまわり」にあまりの衝撃を受けました。
絵を見て鳥肌が立ち、涙が零れたのはあれが初めてで、そしてきっと最後でしょう。
そのひまわりの対面には見つめ合うようにゴッホの数少ない理解者で友であったゴーギャンの絵が飾ってありました。
生前ゴッホにとっては大切な友達だったであろうゴーギャンとさえもゴッホは仲違いしてしまいます。その後悔からゴッホが自分の耳を切り落としてしまったエピソードは有名です。
あえてゴッホの絵とゴーギャンの絵を向かい合わせに展示するナショナルギャラリーの心意気に、僕はひどく感動したものです。この歌はそんな二人の事をモチーフに書いた歌です。



「心の翼」
この曲を書いたのは2004年頃と古く、元々は寺岡呼人さんと一時期やっていたお遊びバンド「男盛り」の為に書いた曲でした。
僕の記念すべき初音源「武蔵野ソングス」に収録していた曲です。
去年ロストインタイムの海北君がこの歌をカバーしてくれて、それがきっかけで
自分でもこの歌の良さを再確認しました。
Bメロのメロディが自分でもとても良く書けたなと気に入ってます。
僕が書いた曲でも数少ない普遍性を持っている歌かもしれませんね。



「西東京」
僕の知り合いの今はもうバンドを辞めてしまった二人の友達の事を歌った歌です。
ある程度長く活動をしてきたバンドマンにはきっと伝わるものがある歌だと思います。
夢と挫折と、そして青春の終わりと大人になるという事をひとつの物語にしました。
曲が長いのであまりライブでは演奏しませんが、特別に気に入っている曲の一つです。



「ホウセンカのソネット」
凄く詞が気に入ってます。断片的な言葉の羅列で、子供の頃の夏休みのあのドキドキ感を表現したかったのですが割と良く出来たと思います。
自分で言うのもなんですが、隠れた名曲です笑


「此処へ」
とても大きな意味でのラブソングです。
自分という存在は今此処にしかいない。
今此処にいる自分を愛して生きて欲しい。
生まれて来たという事、生きてゆくという事を愛して生きて欲しい。
そういうメッセージを込めた歌です。この歌も特別に気に入っている歌です。


「桜のアーチ」
とても悲しい歌です。桜の歌と言えば割と「離ればなれになってもまた会えるからね!」的な歌が多いですが、この歌の主人公とヒロインはおそらく一生会えないでしょう。
僕はあまのじゃくなのであえてそういう歌を書きました。
僕は大のフォーク好きなのですが、初めてそういう一面を思いっきり出した歌です。


「約束してくれよ」
とても切実な歌です。とても辛くて苦しいときに書いた歌です。


「再会」
バンジー時代の曲のセルフカバーです。バンジーの曲は今でも全部大好きですが、
中には歳とともに歌うのが気持ち的な意味で難しくなった曲があるのに対し、この曲だけは
一生歌えるような気がします。
今でも凄く大切な歌です。


「ずっと16歳」
僕の代名詞の一つとなっている曲です。
PK BATTLESをやっているときにメンバーとツアー先で沢山話をしました。
その会話の断片達がこの歌のモチーフになっています
PK BATTLESのメンバーは僕にとって今でもとても大切な仲間です。
結果的にこの曲がPK BATTLESと作った最後の曲になってしまいましたが、そのせいか
僕はこの曲に特別な思い入れがあるようです。
ずっと16歳、自分の気持ちの原点、始まりの場所をずっと忘れないでいたい
そんな願いを込めて付けたタイトルです。


「未明」
とことん赤裸々に自分の内情・心情を歌に込めたある意味町田直隆という人間の
ドキュメンタリーのような歌です。
この歌に関しては全てを歌の中で語っているのでとくに解説も必要ないように思います。
クラシックの「カノン」の様な美しい曲を書こうと思って書きました。
若干曲のコード進行にその形跡が残っています。
長い歌ですが、是非最後までじっくり聴いて欲しい歌です。



・・・と、こんな感じの全11曲が未明には収録されています。


まだ聴いていない人は是非とも聴いて欲しいな。



そんな訳で次回は町田直隆全集第二集「窓」の解説をしたいと思います。


それではまた。