少し前まで好きな丼物と言えば、カツ丼だった。
そば屋に入って必ず注文するのは、カツ丼とたぬき蕎麦のセット。
海外から帰国して最初に喰いたくなるのもカツ丼。
胃カメラ検査などで一食抜いた時、まず最初に頭に浮かぶのがやっぱりカツ丼だった。
それ程カツ丼愛に溢れる私に、心境の変化が訪れたのは40代前半の頃。
名古屋へ出張した時、たまたま入った鷄料理屋で食べた親子丼に衝撃を受け、以来カツ丼から完全に親子丼ファンへと変心してしまったのであった。
それはあたかも長年連れ添った最愛の妻をいとも簡単に捨て去り、若い魅力的な彼女へと乗り換えた最低のクズ野郎のようでもあった。
しかし、年齢的に、揚げ物よりもあっさりした鶏肉を好むようになったのは自然の流れなのかもしれない…
さて、その親子丼の最高峰といえば、行列店で有名な『人形町 玉ひで』である。
昔からその存在だけは知っていたものの、この歳まで縁がなく、今回満を持しての初訪店と相成った。
AM11時30分からのオープンであるにも関わらず、10分前に到着した時は既に20人程度が並んでいた。
完全に出遅れた…
猛暑の中、待つこと40分、やっと店内へ。
しかし、ここで思わぬところに落とし穴があった。
食券売り場の横に『本日白レバー親子丼あります。数に限りあり』との貼り紙がどうしても気になり、ついついそちらを購入してしまったのだ。
普通の親子丼が1500円であるのに対して、白レバー親子丼は3000円。親子丼にしては絶対高い。
3000円出せば、ちょっとした鰻重が喰えるではないか。
しかし、せっかくの最高峰に来て、猛暑の中40分も並んだのだから、数量限定を喰わずに帰るというのは有り得ない選択だった。
もともとレバーが大好物で、焼き鳥屋、焼き肉屋では必ずレバ焼きをオーダーする。
しかし、だ、
希少価値のある白レバーも親子丼との相性が決して良いわけではなかった。
白レバー親子丼↑
もちろん、どちらも非常に美味しく頂きました。
ただ、
初めての店では、まずスタンダードから始めよう
そして、
数量限定に惑わされるな
という良い教訓になったのでした。