先日、お仕事を定時で切り上げて、こちらへ
「トゥールーズ・ロートレック展」
丸ノ内の三菱一号館美術館で開催されているのですが、
水曜日から金曜日は20時まで開館してくれているのです
私は元々印象派やバルビゾン派なんかの
静かでゆったりとした世界が好きなので、
どことなく退廃的なにおいの漂うロートレック
作品はあまり得意ではなくて
もちろん、ポスター画の大胆の色使いや構成は
すばらしいものがありますが、なぜ、美しい女性を
ぱっと見醜いように描くのか、なぜ、敢えて
そのポーズを切り取って描いたのか、というところが
なかなか共感できなかったのです
それが、先日の「日曜美術館」でこちらの特集を
組んでいて、彼の人生の系譜を追っていきながら
考え、鑑賞していくと、なかなか興味深く感じられて
きて
とても個性的に描かれた女性たちの絵を眺めて
いると、単に美しい女性の絵とはまた違う引き込まれ方を
するというか
展示ではモデルの写真が併掲されているものもあり、
それらを見比べながら、画家は彼女のこういうところに
惹かれたのかしら、とか、思いをめぐらせるのが楽しい
もし、彼にこんな風に描いてもらえたら、それは
勿論光栄で嬉しいけれど、同時にとても恥ずかしく
なってしまうかな、なんて考えたり
何というか、普段は人に見せられないような、すごく
プライベートな、素の部分を捉えている感じで
一見シンプルに見える作品たちですが、とても
味わい深かったです
こちらの展覧会はリトグラフ(石版版画)を中心とした
展示ですが、油絵等も数点展示されています
ポスター画の印象が強いロートレックですが、馬や
野うさぎなどの動物を描いたモノクロのリトグラフ
シリーズはとても繊細で生き生きとしていましたし、
母親をモデルに描いた油絵作品は、印象派を彷彿と
させるような、木々の隙間から射す光が美しく、
母親への愛情が強く感じられます
一方、自筆のメニューカード等の挿絵はコミカルで
とてもかわいらしい感じ
一人の画家の多様な魅力が感じられる展覧会です
秋の少し肌寒い夜、彼の作品を鑑賞することで、美しさに
ついて考えたり、自分の内面とじっくり向かい合うことで
とても素敵な時間をすごすことができました
ちなみにこちらは12/25までの展示だそうです