聖光学院が劇的サヨナラ勝ちで初戦突破 タイブレーク導入後センバツ最長12回の死闘制し聖地通算30勝目 斎藤監督「負けなかったことが収穫」
12回、聖光学院・鈴木来夢の犠飛でサヨナラの生還を果たし喜ぶ聖光学院・仁平大智(撮影・西田忠信)
「選抜高校野球・1回戦、聖光学院4-3常葉大菊川」(22日、甲子園球場) 聖光学院がタイブレーク導入後、センバツでは最長となる延長12回の激闘をサヨナラ勝ちで制し、甲子園通算30勝目を飾った。常葉大菊川は12年ぶりのセンバツ勝利はならなかった。 【写真】うおおお!劇的サヨナラで喜び爆発!ガッツポーズ姿が超カッコいい 延長十二回に1死一、三塁から途中出場の鈴木がセンターへの犠飛を放ち、決着をつけた。 試合は聖光学院の大嶋、常葉大菊川の大村の両左腕の投げ合いで試合は進み、9回まで両チームとも0が並んだ。延長十回の表に2点を先制されたが、直後に2死満塁から2番猪俣の打席で大村のボークで1点を返すと、猪俣が適時打を放ち同点に追いついた。十一回は常葉大菊川が犠飛で1点勝ち越したが、聖光学院は芳賀の適時打で同点に追いついた。 斎藤監督は「バッティングの課題が多く出た試合。負けなかったことが収穫」と、振り返った。鈴木は「最後は自分たちがやり切ることをできた。自分が決めるしかないと思っていた。打った瞬間、三塁走者が仁平だったのでいけると思っていた。高校の公式戦で決勝打を打ったのは初めて。中学でもなかった。決められてよかった」と、うなずいた。
【センバツ】高松商が早稲田実に雪辱許し初戦敗退 長尾監督「頭を使った野球をしないと…」
第97回選抜高校野球大会第5日(22日)第1試合で、2年ぶり29度目出場の高松商(香川)が8年ぶり22度目出場の早稲田実(東京)に2―8で大敗を喫し、初戦突破はならなかった。 両校の対戦はセンバツでは1924年の第1回大会の決勝以来、実に101年ぶり。夏の大会を含めても1925年夏の第11回大会決勝以来、3度目となったが、高松商は初めて敗れ、早稲田実にリベンジを許した。 140キロ台をマークする自慢の投手3人が聖地のマウンドで苦しんだ。先発の末包旬希(3年)は3回2/3を5安打4失点。「コントロールが全くできずに悔しい。早稲田実業さんの甘い球を逃さず、そして際どいボールをファウルにする技術がすごかった」と反省しながら振り返った。2番手の行梅直哉(3年)も4回1/3を3安打1失点、3四死球と制球を乱した。 今大会2位タイの最速152キロを誇る高橋友春(3年)は9回から3番手で甲子園のマウンドに登場。ところが、一死を取るのに精一杯で打者5人に4安打3失点と打ち込まれて1イニングを投げ切れず、無念の聖地デビューとなった。「マウンドは楽しめたけど、全然です。真っすぐしか投げなかったので、もっと変化球を投げていたら内容は違ったと思う」と肩を落とした。 打線も相手先発左腕の中村(3年)の前に8安打を放ちながらも、要所を締められて8回までに1点を奪うのがやっと。昨秋のチーム打率は3割6分7厘を誇り、この日も早稲田実の投手陣に10安打を浴びせながら2得点にとどまった。 それだけに長尾健司監督(54)は「早実の中村投手は追い込んでからギアが上がり、もう1つ粘ることができなかった。5回で5点差は痛かった。ここ一番の勝負どころで差が出た。頭を使った野球をしなければならない。能力が高いことと試合に勝つことは別。リベンジしたい」と悔しがっていた。
自慢の球威で8回1失点 早稲田実・中村「出力上がった」 センバツ
【早稲田実-高松商】早稲田実の先発・中村=阪神甲子園球場で=阪神甲子園球場で2025年3月22日、金澤稔撮影
◇選抜高校野球1回戦(22日、阪神甲子園球場) ◇○早稲田実(東京)8―2高松商(香川)● 【写真まとめ】早稲田実-高松商の熱戦 左腕から放たれる直球は高松商打線の想像を上回っていた。早稲田実は中村心大(こうだい)が8回1失点の好投で流れを引き寄せた。 一回、2死から三塁打を浴び、打席には高松商の4番・唐渡(からと)大我。「先制点を取られたら終わりだと思っていたので、流れを持ってくるために一段ギアを上げた」 3番までは直球の球速は130キロ台が多かったが、初球に142キロを計測。最後はフルカウントから140キロの直球を振らせてピンチをしのいだ。「コントロールは課題が残ったけど、ストレートで勝負できるのが自分の武器。応援の力もあって出力が上がった」。自慢の球威でねじ伏せた。 昨夏の甲子園で2勝を挙げた大会屈指の左腕だが、万全の状態ではなかった。昨秋の東京都大会で左肩に違和感を覚え、投球を再開したのは2月中旬。生命線である質の高い直球を取り戻せず、もどかしい日々が続いた。実戦から遠ざかる間に2番手以降の投手が台頭し、「投手陣で自分だけ(調整が)遅れている」と焦りをにじませていた。 この日も力を入れて投げた直球は高めに浮く場面が見られた。それでも、リハビリ中にウエートトレーニングやダッシュで下半身を強化したことで、球威は増していた。唐渡は「想像よりも伸びがあって、浮き上がってくる素晴らしいストレートだった」と脱帽。制球はアバウトでも空振りを誘い、要所を締めた。 打っても二回に先制の左越え適時二塁打を放つなど4安打。101年前の第1回大会(1924年)決勝と同じ顔合わせとなった伝統校対決で、勝利をもたらした。「受け継がれてきた伝統を壊したくなかったので、いい試合ができて良かった」。名門の大黒柱としての責任を果たし、安堵(あんど)の笑みを浮かべた。【皆川真仁】


