メダリストトリオで悲願の金メダルへ | 火ノ玉JAPANインタビュー #9:BC1/BC2チーム 杉村英孝/廣瀬隆喜/遠藤裕美
【©︎日本ボッチャ協会】
現在開催中のパリ2024パラリンピック。ボッチャ日本代表「火ノ玉JAPAN」からは7名の選手が出場し、個人戦での戦いを終えました。本企画では、パリ2024パラリンピックに日本代表として団体戦に挑む選手たちのグループインタビューを通して、それぞれの関係性やチームとしての意気込みを聞きました。
パリ2024特別企画の最終回は、BC1/BC2チーム戦に挑む杉村英孝選手、廣瀬隆喜選手、遠藤裕美選手の3人。昨年12月に香港で行われたアジア・オセアニア選手権にて銅メダルを獲得し、大陸枠でのパリ2024出場権獲得は逃したものの、同年12月16日付の世界ランキングで大陸枠獲得国を除く上位4カ国に入り、出場枠を獲得したチーム。
パリ大会前は、メダリストの杉村選手、廣瀬選手が遠藤選手を引っ張る立場でしたが、今大会の個人戦で遠藤選手は銅メダルを獲得。チームとしてもメダリストトリオという最強布陣が完成し、悲願の金メダルを目指します。3選手のとっても良い空気感漂うインタビューをどうぞ。
※このインタビューは今年4月に収録されたものです。
メダリストトリオの最強布陣で悲願の金メダル獲得に挑戦
ー ズバリ、チームとしての目標を聞かせてください
杉村・廣瀬・遠藤)せーの、金メダル!
ー 事前にお答えいただいたアンケートでは杉村選手「団体は金」、廣瀬選手「チームは連続のメダル」、遠藤選手「予選通過」とのことでした。
遠藤)3つを合わせて。
杉村)そうですね。段階を踏めば、ゴールにつながりますね(笑)。
廣瀬)メダル圏内に行って、金メダルを獲れれば(笑)。
遠藤)予選通過に関しては、今までやってきたことをしっかりチームにしても個人にしてもパフォーマンスとしてやるということが私としての第1目標ですし、チームとしての最低条件だとは思っているので、そこはしっかり挑戦していきたいと思います。
廣瀬)ボッチャの中では連続でのメダル獲得というのはなかなかないところなので、やっぱりこのメダル獲得してからのボッチャブームというのが、かなり日本全国にも広がったと思うので、そこはやっぱりパラに出るからには連続してメダルを獲得して、これからファン層を増やすことが出来るようにするというのが、まずは最低条件なのかなと思います。
杉村)団体戦において、悲願の金メダルを目指して戦っていきたいなと思ってます。
ー 最大のライバルは?
遠藤)個人にしてもチーム戦にしても、タイじゃないでしょうか。タイは強いです。
廣瀬)今はアジア勢が強くて、韓国だったりインドネシアだったり、いろんな国が強いのですが、やっぱりいろいろ考えていくとやっぱりタイの総合的な力というのは、すごく強いんだなとは実感しています。
杉村)最大のライバルは「自分」です。もちろん、遠藤選手、廣瀬選手の言われたタイのチームであるとか、またアジア勢、ヨーロッパ勢、その他にもブラジルとか、どの国も強豪ですし、簡単な試合は一つもないと思っています。なので、すごく厳しい戦いにはなると思うんです。だからこそ自分または自分のチームをライバルというか、そういうふうに捉えて、自分たちが理想とするプレー、練習などで準備してきたことを試合の中で発揮して、その理想を上回ることができれば、それは自ずと結果がついてくると思うし、目標に近づいていくのかなと思っています。そういう意味で「自分」と答えました。
ー 世界のレベルは上がっている?
杉村)そうですね。本当に東京大会が終わって、パリに向けてのシーズンを戦ってきましたけど、どの国もレベルが上がっていますし、これまでいなかったチームというのも出てきて、ライバルが増えたなと実感しています。
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それぞれのパリでの楽しみは?
ー みなさんはパリには行ったことはありますか?
廣瀬)パリ自体に行ったことはないですね。
杉村)僕もないですね。
遠藤)空港ぐらい・・・。
杉村)空港ですね。乗り継ぎぐらいですね。
廣瀬)外に出たことはないですね。
ー そんな中でパリで楽しみにしていることは?
遠藤)選手村の食事ですね。食事が整っていなかったらパフォーマンスにしっかりつながっていかないと思うので、そこは大事にしていこうかなと思います。選手村での生活や食事は楽しみにしてます。
杉村)いろいろあるよ。
遠藤)誘惑いっぱい(笑)。
廣瀬)飲み物、飲み放題だからね。
ー 選手村にはさまざまな料理がありますが、先輩たちから楽しみや注意しなければいけないことなどはありますか?
杉村)なんだろうな。本当にメニューは和食とか中華とか、イタリアンとか、いろんなメニューがあるので、その中から自分が食べたいものを選んで、食べたいだけ食べれると思うので、しっかり自分がセーブしながら体調を整えて試合に臨めればいいのかなと思っています。
ー 杉村選手も楽しみは食べ物系ですね?
杉村)そうですね。本場のクロワッサンが食べたいですね。本場のクロワッサンはおいしいってみんな言うじゃないですか。そう聞くので、是非パリに行くので本場のクロワッサンを食べたいなと。栄養スタッフからはちょっと指導が入るかもしれないですけど、まぁそこはちょっと無視して(笑)、食べる機会があればいただきたいなと思っています。
ー 廣瀬選手はパラリンピック自体や移動中の街並みなどを楽しみたいとのことですが?
廣瀬)いろんな競技団体とも選手村で過ごせたりするので、パラリンピック全体を楽しみたいですし、競技も含めて楽しみたいですね。あと、観光っていう観光はできないと思うので移動中の街並みっていうのが多分バスなどから見れると思うので、パラリンピック自体全部を楽しみたいなと思います。
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チームの結束力を高める「背中ピン!」で「さぁ、行こう!」
ー チームの中で鍵を握る選手は?
遠藤)全員。一人一人の役割をしっかり果たせればいいかなぁと思うので。試合をしていく中でしっかりパフォーマンスを繋げていけたらなと思います。
廣瀬)遠藤選手。3人のチームワークはもちろんなんですけど、エンドゥーの笑顔でチームのムードがすごく上がるので、遠藤選手を笑顔でとにかくできたらいいなと思います。
杉村)自分。まぁ自分は自分のためにであったりですとか、自分はチームのためにですとか、仲間のためにですとか、そういった思いを自分も持つし、チームメイトもそれぞれ持ってもらうことで、それがまたひとつとなって大きな力が生まれるのかなと思っているので。自分に期待をして戦っていきたいなと思っています。
ー チームの掛け声は「さぁ、行こう!」。これはみんなしっくりきている?
遠藤)しっくりきてると思います。
杉村)これは火ノ玉JAPAN全体の掛け声のひとつなのかなと思います。円陣を組んだ時も「さぁ、行こう」って言いますし、試合の時に自分たちが決めたチームが投げる時も掛け声はコートの中にいる選手もそうですし、周りで応援してくれる他のクラスの選手ですとか、スタッフ含めてみんなで「さぁ、行こう!」と声を掛け合って試合に臨む。そういうスタイルが今の火ノ玉JAPANになります。
ー 音頭をとるのは誰?
杉村)それは、内田キャプテンですかね。
ー 杉村選手によると「背中ピン!」という掛け声もあるんですか?
杉村)そうです。「背中ピン!」。BC1/2、この3人の中の大事な掛け声になっています。これはですね、遠藤選手が投げる直前の掛け声です。遠藤選手はもちろん技術レベルは高いんですけど、その技術レベルをより一層高めるために、フォーム、意識というか、そう言った部分を3人で共有して行こうというところで「背中ピン!」ってすると、エンドゥーが「ピン!」と、背中を伸ばして投球する。そうすると魔法のおまじないのように、アプローチの精度が上がります。
遠藤)あれ、ボールが吸い込まれたよね(笑)。
杉村)是非、注目してください。
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団体戦はいよいよ本日から始まります。遠藤選手の「背中ピン!」にも是非ご注目いただきながら試合観戦してみては?初戦は明日9月3日(火)チュニジア戦です。是非、応援よろしくお願いします。
杉村/廣瀬/遠藤チームの試合スケジュール
BC1/BC2混合チーム戦
9/3(火)17:00(日本時間翌0:00)vsチュニジア
9/3(火)20:10(日本時間翌3:10)vs韓国
9/4(水)12:50(日本時間19:50)準々決勝(TBD)
9/4(水)17:00(日本時間翌0:00)準決勝(TBD)
9/5(木)10:30(日本時間17:30)3位決定戦(TBD)
9/5(木)17:00(日本時間翌0:00)決勝(TBD)
プロフィール
杉村 英孝(すぎむら・ひでたか)
生年月日:1982年3月1日
出身地:静岡県
クラス:BC2
所属:TOKIOインカラミ
出身校:静岡県立中央特別支援学校
パラリンピック成績:リオ2016 - BC1/BC2チーム 銀メダル, 東京2020 - BC2個人 金メダル, BC1/2チーム 銅メダル
廣瀬 隆喜(ひろせ・たかゆき)
生年月日:1984年8月31日
出身地:千葉県
クラス:BC2
所属:西尾レントオール株式会社
出身校:千葉県立袖ヶ浦特別支援学校
パラリンピック成績:リオ2016 - BC1/BC2チーム 銀メダル, 東京2020 - BC1/2チーム 銅メダル
遠藤 裕美(えんどう・ひろみ)
生年月日:1986年7月14日
出身地:福島県
クラス:BC1
所属:福島県ボッチャ協会
パラリンピック成績:パリ2024 - BC2女子個人 銅メダル
チーム戦での戦績
Hong Kong 2023 World Boccia Asia-Oceania Regional Championships - 3位(BC1/BC2チーム)
今夜からボッチャ「チーム」開始、銅メダリスト遠藤裕美の加入で戦術に厚み…悲願の「金」へ
パリパラリンピックのボッチャ競技は3日から、チーム戦(脳性まひ)1次リーグが始まる。東京パラリンピックで銅メダルを獲得したこの種目に、日本代表は杉村英孝(42)(TOKIOインカラミ)、広瀬隆喜(40)(西尾レントオール)に加え、遠藤裕美(38)(福島県ボッチャ協会)の3人で挑む。チームの強みと勝負のポイントについて、6月の日本代表強化合宿に参加した強豪・川崎ボッチャーレの上野進代表(56)に分析してもらった。(デジタル編集部 池田亮)
「上投げ」で思い切りのいい遠藤
強化合宿中に笑顔を見せる(左から)杉村、遠藤、広瀬(6月22日、福島県白河市で)=池田亮撮影
東京大会で個人金メダルの杉村、5大会連続出場の広瀬の両ベテランに対し、遠藤はパラリンピック初出場だ。
女子個人(脳性まひBC1)にも出場し、銅メダルの遠藤の強みは、コートの奥「ロングエリア」で勝負できることだ。スローイングボックスから10メートル先にあるエンドライン付近に、ジャックボール(目標球)を配置する戦い方で、アプローチの正確性と遠方に投げる筋力が求められる。3人のなかで唯一「上投げ」の遠藤は、素振りなしで投げるなど思い切りが良い。
強化合宿で練習試合を行った後、意見を交わす広瀬(左端)ら日本チームと川崎ボッチャーレのメンバーら(6月22日、福島県白河市で)=池田亮撮影
力強いショットに定評のある広瀬もロングエリアを得意とする。今年1月の日本選手権の個人戦で、広瀬は杉村に対してロングエリアでの勝負を果敢に仕掛け、勝利している。
杉村はジャックボールに対する正確無比なアプローチが最大の武器だ。だが、障害の影響で握力が弱く、遠くに投げるために使われる固い球を握るのが苦手。このため、小さな力でも投球の距離を伸ばせるよう、床との摩擦が少ない素材の球を新たに選択肢に追加した。杉村はロングエリアでの攻防をポイントに挙げ、「フォームを安定させ、パリに向けてしっかり照準を合わせたい」と語った。
上野代表は「パワーで押してくる海外勢に対して、どのエリアに投げられても日本代表の3人なら対応できるし、死角がない」と見ている。
ジャックボールを動かす展開が勝負のカギに
ジャックボールに持ち球を寄せていくのがボッチャの基本。相手が球を近づけられないように、持ち球で「防御」するのも作戦の一つだ。だが近年、ジャックボールをはじいて、目標の位置を変えていく戦い方も増えている。
「パリから変わったなという大会に」準々決勝進出の小田凱人 テレビ中継に「映せるレベルだと思ってもらう」
2024年パリパラリンピック 車いすテニス男子シングルスに出場している小田凱人選手(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
◇パリパラリンピック2024 車いすテニス男子シングル(日本時間3日、レッドクレー) 【画像】車いすテニス・小田凱人「いつもより楽しんでテニスをしたい」 パリパラリンピックの車いすテニス男子シングルス3回戦。第2シードで出場した日本の小田凱人選手がブラジルのダニエル・ロドリゲス選手にストレート勝ちを収め、準々決勝進出を果たしました。 試合後に「調子はすごくいい」と好調ぶりをアピールし、「昨日力が入っていたのがすっと抜けていつも通りやれた」と納得の表情を見せた小田選手。 一方で、日本時間1日に自身のSNSで試合がテレビ中継がされないと発言したことについては「1日たってもその思いは変わらない」と思いを明かしました。 注目度はまだ高いとはいえない競技の現状に「基準がメダルがかかった試合のみという感じだと思うので、その基準を全試合映すみたいな感じで。自分が試合するしかないんですけど、口だけではなくて映せるレベルだなと思ってもらわないと何も始まらないのでそこは意識してやりたい」と語った小田選手。 つづけて「知っている人に届けるのではなくて知らない人に届けたい。僕が言わないと誰も始まってくれないと思うし、誰かに任してってこともない」と、18歳ながら車いすテニス界の未来を見据えていました。 小田選手は今大会を分岐点にしたいそうで「パリから変わったなという大会に、10年後20年後思えるようにしたい。小田凱人は知ってるけど試合は見たことがないという人が大半だと思うので、そういう人たちに向けて届けるチャンス」と、明るく意気込みました。 最後に次戦について「勝つ前提で見てもらって、どのプレーでどうやって相手を倒していくかというふうに見てほしい。そういう試合をしたい」と締めくくりました