【アジア杯】日本の1次リーグ突破の行方 L首位は消滅も3位でも決勝T進出の可能性

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1次リーグD組の行方

 日本(FIFAランキング17位)にとって「ドーハ近郊の悲劇」は、いばらの道に進む大きな1敗だった。 【写真】悪夢2失点のGK鈴木彩艶 股間触られる屈辱も  アジア杯1次リーグ第2戦で1-2と敗れたイラク戦から一夜明けた20日、先発組らはジムでリカバリー。他のメンバーは約1時間の練習を行った。他会場の結果を受け、日本の1次リーグ首位突破が消滅。24日のインドネシア(同146位)戦に引き分け以上で2位通過した場合も、中2日の過密日程が発生する。相手も決勝トーナメント(T)序盤から強豪国と対戦する可能性が出てきた。  ◆日本の1次リーグ突破の行方 日本はインドネシアに引き分け以上で2位突破が決定。勝って勝ち点6とし、首位イラクがベトナム負けると勝ち点6で並ぶが、当該チーム間の対戦成績が優先されるため第2戦でイラクに敗れた日本は2位となる。引き分けの場合は日本とインドネシアが勝ち点4で並び、グループ全体の得失点差で日本が2位。負けると勝ち点3のままで、他組の3位チームとの比較となり、成績上位4チームに入る必要がある。  ◆アジア杯大会方式 1次リーグは24チームが6組に分かれ、各組2位までと3位の成績上位4チームが決勝トーナメントに進む。1次リーグは勝ち点で並んだ場合、当該チーム間の勝ち点、得失点差、得点数を比較。同じだった場合は1次リーグ全体の得失点差、同総得点で順位を決める。それも並ぶと当該チームが最終戦で同会場の場合はPK戦、警告や退場を点数化した反則ポイントで優劣をつけ、最後は抽選となる。

 

 

 

 

 

【アジア杯】GK前川黛也、2戦4失点の鈴木彩艶への批判に持論「外野が言うのは簡単。全然ミスでもない」

キーパー練習をする前川黛也(カメラ・今成 良輔)

 【ドーハ(カタール)20日=ペン・星野浩司、カメラ・今成良輔】アジア杯で3大会ぶり5度目の優勝を目指す日本代表のGK前川黛也(神戸)は、19日のイラク戦で2失点したGK鈴木彩艶(シントトロイデン)に対する批判の声について持論を語った。  イラク戦は開始5分、自陣右クロスを鈴木がパンチングした先にいた相手FWにヘディングで押し込まれて先制された。初戦・ベトナム戦に続く2試合連続の2失点となり、守護神を担う21歳の鈴木に対してSNSなどで批判の声が挙がっている。  GK陣で最年長の前川は後輩のプレーやその反応について言及した。  「そうやって言っている人はこういうピッチや代表を背負って戦っている人でない人たちが言っているわけであって。ああいうプレッシャーの中でやるというのは普通にプレーをするだけでも大変なのに、あそこはしっかりボールにもチャレンジしてその結果、詰められたというところ」  「全然ミスでもないし、その前のところでの失い方とか、そこまで進入されたのが問題でもあって、キーパーで修正は絶対にしないといけないと思うけど、必要以上にそこは言われ過ぎていると僕も思っている」  さらに「そうやって外野が言うのは簡単ですし、でも僕自身も代表や海外経験がない中で、あのアウェーの声援、プレッシャーの中でプレーするというところで、彩艶はすごくビルドアップやリスクケアはすごく安定していた。彩艶が救っているところもたくさんあった。それなのに、ああいう一個で批判されるというのは、プロである以上仕方のないことであるとはいえ、少しそこに集中しすぎなんじゃないかなと僕は思う」と語った。  試合中や試合後、前川は鈴木と話した。「厳しい戦いは続くので次に切り替えていこうというところと、自信を持ってほしいところ。彩艶だけでなくキーパー全員がそういう責任を背負ってキーパーチームで戦っていかないといけないと思うので、僕自身も助けになったらなと思う」。1次リーグ突破がかかる24日のインドネシア戦に向けて、GK陣として無失点を目指していく。

 

 

 

 

【アジアカップ】E組混戦 韓国、ヨルダン、バーレーンに首位通過の可能性 日本と対戦する恐れも…

 

20日時点のグループステージ順位表 A~E組は2試合消化、F組は1試合消化

サッカーのアジアカップのグループステージ。韓国、ヨルダン、バーレーン、マレーシアの4チームで争うグループEの第2戦が20日に行われました。 【決勝トーナメント】カタールのA組1位、イラクのD組1位は確定 韓国とヨルダンは引き分けに終わり、共に勝ち点4。そしてバーレーンがマレーシアに勝利し勝ち点3。現在の順位は1位ヨルダン、2位韓国、3位バーレーン。グループステージ最終戦の結果次第ではありますが、3チームが首位通過の可能性を残しています。4位のマレーシアは、グループステージ敗退が決定しています。 またグループE1位のチームは、決勝トーナメント1回戦で日本が所属するグループDの2位と対戦することが決定。現状、日本がグループステージを突破するなら、グループD2位での可能性を十分に残しています。 【グループE第2戦の結果】 ヨルダン 2-2 韓国 バーレーン 1-0 マレーシア 【グループE第3戦の日程】 韓国 vs マレーシア(日本時間25日、午後8時30分) ヨルダン vs バーレーン(日本時間25日、午後8時30分)

 

 

 

 

 

「トップ下久保、左に南野、右に伊東のシステムで何がしたいのか」森保監督の“ナゾ采配”に城彰二が呈した苦言《アジアカップ》

 

イラク相手に敗れたサッカー日本代表 ©時事通信社

〈「簡単に決められた」「W杯なら致命傷になる」“格下”ベトナムにまさかの2失点…それでも森保ジャパンが逆転勝利できたワケ《城彰二が解説》〉 から続く 【画像多数】ビキニ姿で応援する女性も…サッカーの“美しすぎるサポーター”を写真で見る  サッカー日本代表は今月19日、AFCアジアカップカタール2023の1次リーグ第2戦でイラク代表と対戦。前半に2失点するなど苦戦を強いられ、1-2で敗戦した。元日本代表で、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は、この試合をどう見たのか。話を聞いた。 ◆◆◆

イラクの圧力を受けて受け身に回ってしまった

――勝てば決勝トーナメント進出が決まるイラク戦、日本は1-2で敗れてしまいました。 城彰二さん(以下、城) 負けるべくして負けたかなと思います。試合の入りは相手の様子を見ながらというのがあったと思いますけど、イラクの前からの圧力を受けて完全に受け身に回ってしまった。  イラクのFWアイマンは大きいし、強いし、裏を取られたら嫌なので、ディフェンスラインがズルズル下がり、そのまま上げられないからセカンドボールを回収できない。すべてが後手に回って、前半5分に失点し、主導権を失った。試合の入りが悪すぎました。 ――前半5分の失点のシーンですが、ちょっと軽率な失点でした。 城 FWアイマンが起点になっているので、そこを挟み込むとか対応策を取らないといけないですけど、やっていなかった。スカウティングでプレースタイルは分かっていたはずなのに、対応していないのはどうかなと思いますよ。結局、中盤とDFラインの間に立たれて、起点を作られて、サイドに展開されて、そこから突破されてしまった。  その流れから失点してしまうんですけど、板倉(滉)がクロスを上げる選手に寄せ切れてなかったですし、GKの鈴木彩艶もクロスを弾いたのはいいけど、そのボールが相手の正面に行くなど、ベトナム戦から流れがよくない。でも、あのヘディングシュートはうまかった。若干ループみたいに上に浮かすようなボールでかなり難しいし、技術があるなと。日本は、こういう大きくて強いFWには弱いですね。

 

 

 

 

 

「ドーハの教訓」はまだ終わらない 森保監督に求められる“悲劇”の経験の継承【コラム】

 

森保監督は「カタールでの第2戦」に弱い傾向

日本はイラクに1-2で敗戦【写真:Getty Images】

 森保一という人物は、カタールでの第2戦に弱い。  選手として参加した1992年のアメリカ・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選では、第2戦のイラン戦で1-2と敗戦を喫した。監督として臨んだ2022年のカタールW杯の時は、グループリーグ第2戦でコスタリカに敗れている。そして今回もイラクを相手に1-2と敗れてしまった。 【写真】「醜くて非道」 衝撃の瞬間…イランのエースFWが日本代表MFへ顔面張り手の瞬間  カタールでのイラクとの相性も悪いと言えるだろう。1993年10月28日には後半アディショナルタイム、残り17秒という時点で同点ゴールを叩き込まれ、W杯初出場を逃して「ドーハの悲劇」と呼ばれるようになった。  その時以来、イラクには9試合負けていなかったが、今回は第二次森保ジャパンの11連勝を阻まれるとともに、グループリーグの首位突破を厳しくする戦いになった。そしてこの敗戦は、単に負けただけではなく、日本の神経を逆なでしたのも間違いないだろう。  イラクは意図していたかどうかは別として、日本をイライラさせた。前日公式会見では、森保監督が話している時もおしゃべりを止めない。電話やメールの着信音も切らずに鳴らしっぱなし。司会もイラクメディアばかりを指名し、そこでは「初戦のベトナム戦では2失点して、ファンからは不満の声があったと思うが、それはプレッシャーになるか。日本はまだ優勝候補と言えるか」など、挑発するかのような質問も出た。  試合後は「ミックスゾーン」と呼ばれる、報道陣が選手の話を聞くエリアでも大騒ぎ。選手たちは大音量で音楽を鳴らしながら現れ、メディア関係者は禁止されているにもかかわらず、スマートフォンを使って選手と一緒に自撮りを続ける。日本選手が感情を抑えつつ接している横を、パーティーの一団が通り過ぎていくという構図だった。

イラクのアルフセイン記者は「レベルはベトナム戦よりも低かった」と指摘

 報道陣までもが煽られた。試合後のメディアセンターではイラクメディアがカメラを回しながら日本メディアの敗戦コメントを取りたがり、イラクのニュース配信会社「スポーツエージェンシー」のフセイン・アルフセイン記者は、ニコニコ顔でこんなメッセージを送ってきた。 「たしかに、我々のチームはこの試合に勝利するに値した。卓越したレベルを示し、日本相手に2ゴールを奪うことに成功したのだから。日本チームはいいレベルを見せず、そのレベルはベトナム戦よりも低かった」  そして、こんな態度や行動を取られても言い返すことができないくらい、日本代表の出来は悪かったのだ。 「ドーハの悲劇」の時は、日本の試合運びの拙さが指摘された。リードして試合終盤を迎えた時、どうやってタイムアップまでの時間を稼ぐのかなどの議論が盛んになった。それから日本は多くの経験を積み、試合運びについて学んだはずだった。だが今回のイラクには前半5分、前半アディショナルタイム5分と、慎重にプレーしなければいけないはずの時間帯に失点してしまっている。  試合前日、森保監督は1993年の試合に触れてこう語った。 「明日イラクと戦うので、アディショナルタイムのこと、ラストプレーなどを聞きたいのかと思うが、今の選手たちは時代も変わっている。この大会もアディショナルタイムが非常にきちんと取られて長くなっているので、そこも含めてゲームマネジメントしていかないといけない。ベトナム戦も選手たちがアディショナルタイムを使って前半の逆転ゴールにつなげたり、最後に試合を締めくくるコントロールをしたりした。私が経験した約30年前とは全く違う素晴らしいプレーを横にいる板倉選手たちがやってくれている」  かつて、日本に海外サッカーを紹介してくれたテレビ番組「ダイヤモンドサッカー」の名アナウンサー、故・金子勝彦氏は1993年の試合を「ドーハの悲劇」ではなく「ドーハの教訓」と呼んでいた。前後半こそ違うものの、アディショナルタイムの失点ということを考えると、まだ日本は「ドーハの教訓」を生かし切れていないということだろう。  時代は変わったが、日本サッカーはまだ「ドーハの教訓」を学び終わってはいない。森保監督は自身の経験を今の選手たちにも積極的に伝えていったほうがいいのではないだろうか。そして、2024年のイラク戦に出た選手たちは、試合前後にどんなことが起きたかということも含めて今回の経験を伝え、もう二度とこんな試合をしなくて済むような「教訓」を作り上げてほしい。  足元を見直すきっかけになった。そうでも考えないと、この敗戦は意味を持たなくなってしまうことだろう。 [著者プロフィール] 森雅史(もり・まさふみ)/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。