巨人、ファームの体質一変! “2軍慣れ”中堅を整理…若手育成を断行
巨人の2軍はイースタン・リーグ5連覇へ黄信号がともっても、近年にない活気に満ちている。昨秋復帰した原辰徳監督(60)の新体制で、ファームの体質が一変された成果だ。
25日のイースタン・リーグのロッテ戦(ジャイアンツ球場)は、前日24日に2軍落ちした加藤脩平外野手(20)の2ランで先制し、相手の反撃を1点に抑えて勝利。首位ロッテに6ゲーム差の4位というここまでの戦いぶりにも、球団フロントに悲壮感はない。
「もちろん勝つに越したことはないが、ファームが優先するべきは目先の勝利でなく、1軍の勝利に貢献すること」
チーム犠打23個はリーグ最少。断然トップの同141個だった昨季とは、選手に求められるプレーが様変わりした。「試合終盤に相手の中軸が送りバントをしてくると、去年までウチもそうだったなあと。今年は長打が持ち味の選手には、最後までしっかり振らせる」。それで試合に敗れたとしても、1軍のレギュラーを狙える選手を育てる方が重要だ。
野手より整理が進んでいない投手陣も、先発要員でFA補強した大竹、野上は今季2軍で中継ぎ専従。先発ローテは将来性のある若手が中心だ。
この日対戦したロッテ2軍には1軍経験が豊富な選手も多いが、昨季までの巨人2軍もそうだった。たまに1軍に呼ばれても定着は無理だと自ら線引きしてしまった選手は、ファームの練習に身が入らない。それでも2軍ではそこそこの成績が出せるメンバーが、昨季イースタン4連覇した強さを支えた側面もある。
だが連覇が始まった2014年を最後に、1軍は優勝から遠ざかっている。新体制のフロントは反省に立ち、昨季終了後に「悪い意味で2軍慣れしてしまった中堅野手の整理」を断行。今季の支配下選手は12球団最少66人で、上限まであと4枠も育成選手にチャンスがある。同69人で狭き門のロッテとは対照的だ。
しかも原巨人は前体制とはスピード感が違う。5月20日に上原が現役引退し支配下枠が1つ空くと、有望な育成選手を次々と東京ドームでの1軍練習に呼び、指揮官にアピール合戦させた。加藤が9日に支配下登録を勝ち取り、13日にさっそく1軍デビュー。これでファームの若手が活気づかないはずがない。中継ぎで1軍に再昇格した20歳左腕の大江は、22日に茨城・土浦のイースタン戦に先発予定だったが、急きょ前夜に東京ドームへ向かうよう通達された。
すべては1軍のペナント奪回のため。ファームのぶれない方針が、セ・リーグ首位に立つ1軍の進撃を支えていく。(笹森倫)
緊急トレードにみる原監督の「本気度」 それでも「補強第3弾」がささやかれるワケ
プロ野球の巨人と日ハムで2対2のトレードが成立した。2019年6月26日、両球団が発表した。巨人の吉川光夫投手(31)、宇佐見真吾捕手(26)と、日ハムの藤岡貴裕投手(29)、鍵谷陽平投手(28)がトレードされ、吉川は3年ぶりの古巣復帰となる。
巨人はリーグ首位に立つものの、不安のある中継ぎの強化が急務となっており、今回のトレードで中継ぎを補強した形だ。
■デラロサに続く中継ぎの補強
交流戦を終え、リーグ戦再開を前にして巨人が緊急トレードを行った。吉川、宇佐見と交換で獲得したのは、中継ぎ要員の藤岡と鍵谷。中継ぎの補強が課題だった巨人と、捕手と投手の補強を目指していた日ハムの思惑が合致したことで、今回の1投手1捕手に対する2投手のトレードが成立したとみられる。
今回のトレードは補強第2弾となる。巨人は中継ぎの補強としてダイヤモンドバックス3Aのルビー・デラロサ投手(30)を獲得。6月22日にデラロサと合意に至ったことを発表した。今回はこれに続く中継ぎの補強となり、5年ぶりの優勝に向ける原辰徳監督(60)の「本気度」がうかがえる。
エース菅野智之投手(29)の不振により、先発陣のコマ不足にあえぐ巨人だが、その一方で開幕から続く中継ぎ陣の不安定さは相変わらず。6月21日のソフトバンク戦では、森福允彦投手(32)が満塁弾を浴び、この日マウンドに上がった宮国椋丞投手(27)、ライアン・クック投手(31)らも失点を記録。22日には3人そろって出場選手登録を抹消され2軍降格となった。
右の宮国と左の森福、そしてクックの2軍落ち。デラロサの獲得と右の鍵谷、左の藤岡の獲得は、補強というよりも降格した3人の補填のようなものだろう。3投手の加入は確かに心強いものになるかもしれないが、補強という点においてはまだ完全ではないだろう。在京球団の関係者は巨人の投手補強に関して「その次があるかもしれません」と指摘した上で次のように続けた。
「今回、3人の投手を獲得しましたが、デラロサに関しては肘のこともあり力は未知数です。藤岡、鍵谷についても絶対的セットアッパーとは言えません。優勝するためにはもう一つ上のクラスの投手が必要になってくる。次にトレードがあるとすれば、ワンランク上の選手のトレードになるでしょう。今の巨人で余裕があるのはキャッチャー陣。炭谷、小林、大城がいて、宇佐見が抜けても若手の岸田がいます。オリックスのようにキャッチャーをほしがっているチームはある。条件さえ合えば可能性は十分あるでしょう」
リーグ首位の巨人は、交流戦最下位に終わった広島が調子を上げてくる前に首位固めに入りたいところ。トレード締め切りまであと約1か月。原巨人の補強第3弾はあるのか。6月29日のヤクルト戦からリーグ戦が再開される。
フレッシュ球宴に輝星、藤原、根尾、小園 “BIG4”再集結
日本野球機構(NPB)は26日、「プロ野球フレッシュオールスターゲーム2019」(7月11日・楽天生命)の出場選手を発表した。
【写真】巨人、日本ハム2対2交換トレード成立
イースタン・リーグでは日本ハムのドラフト1位・吉田輝星投手(18)、ロッテのドラフト1位・藤原恭大外野手(19)、ウエスタン・リーグでは中日のドラフト1位・根尾昂内野手(19)、広島の小園海斗内野手(19)らの出場が決まった。
昨年の甲子園を沸かせ、「高校BIG4」と呼ばれた金足農出身の吉田輝、大阪桐蔭出身の藤原と根尾、報徳学園出身の小園が集結。未来の日本球界を担う金の卵が顔をそろえる一戦は、1軍のオールスター並みの注目を集めそうだ。
出場選手は以下。
【イースタン】(高田2軍監督=巨人)
▽投手
戸郷(巨人)
清水(ヤクルト)
中村稔(ロッテ)
中川虎(DeNA)
松本航(西武)
本田(西武)
吉田輝(日本ハム)
鈴木(日本ハム)
▽捕手
岸田(巨人)
石原(楽天)
▽内野手
宮本(ヤクルト)
茶谷(ロッテ)
伊藤裕(DeNA)
知野(DeNA)
西巻(楽天)
西川(西武)
野村(日本ハム)
▽外野手
山下航(巨人)
中山(ヤクルト)
藤原(ロッテ)
小郷(楽天)
【ウエスタン】(平田2軍監督=阪神)
▽投手
馬場(阪神)
斎藤(阪神)
吉住(ソフトバンク)
板東(ソフトバンク)
張奕(オリックス)
島内(広島)
梅津(中日)
山本(中日)
▽捕手
片山(阪神)
石橋(中日)
▽内野手
熊谷(阪神)
小幡(阪神)
増田(ソフトバンク)
三森(ソフトバンク)
頓宮(オリックス)
中川(オリックス)
林(広島)
小園(広島)
根尾(中日)
▽外野手
根本(オリックス)
正隨(広島)
※1軍の球宴出場が決定した場合は変更される。

