「コパが終わるのを待っていた」 “主将”柴崎と海外クラブが交渉開始へ「日本の操縦士を…」

6/26(水) 19:10配信

Football ZONE web

コパ・アメリカで輝き放った柴崎、メキシコのプーマスが獲得へ本腰か

 日本代表は現地時間24日、コパ・アメリカ(南米選手権)グループリーグ第3戦でエクアドルと対戦。1-1と引き分け、決勝トーナメント進出を逃すことになった。MF柴崎岳(ヘタフェ)は今大会で主将を務めたが、海外メディアは「コパ・アメリカが終わるのを待っていた」と新天地候補となるクラブが交渉を待機していたことを伝えている。

【動画】日本の主将がコパ・アメリカで好パフォーマンス披露! 柴崎の絶妙なロングパスから三好が先制点を奪取

 2017年にヘタフェへと加入した柴崎は昨季、戦術面の問題からシーズンの途中まで構想外の状態にあったが、終盤戦は出場する機会で印象的なプレーを残した。最終的にはリーグ戦7試合の出場にとどまってしまい、新シーズンに向けた去就が騒がれていたが、スペイン紙「マルカ」は「コパ・アメリカが柴崎の将来を左右する」と指摘していた。

 そして柴崎は、その期待に応えるかのようにコパ・アメリカで輝きを放つことになる。初戦のチリ戦(0-4)でFW上田綺世(法政大学)に幾度となく一撃必殺のスルーパスで決定機を生み出す圧倒的な存在感を放つと、第2戦のウルグアイ戦(2-2)では絶妙なロングパスでMF三好康児(横浜F・マリノス)の先制点をアシストした。第3戦のエクアドル戦(1-1)では相手選手との接触で頭部から流血するも、テーピングして再び激しい競り合いに応戦する闘志を見せた。

 全3試合に出場し、キャプテンを担った柴崎が大会を通して示した好パフォーマンスは、新天地に向けて十分なアピールとなったようだ。メキシコメディア「Universal Deportes」は「プーマスが日本の操縦士を獲得か」と見出しを打って報じ、「クラブは交渉するため、コパ・アメリカが終わるのを待っていた」とメキシコ1部プーマスが獲得に向け本格的な動きを見せることを説明している。

「マルカ」も「プーマスが柴崎との交渉を開始した」と取り上げ、「柴崎はコパ・アメリカで活躍したが、来季のヘタフェの構想に入ることはないだろう」と、大会の活躍を機に新天地への移籍を促していた。今後も他クラブからの接触が出てくることが予想されるが、柴崎はどのような決断を下すのだろうか。

Football ZONE web編集部

 

 

ブラジル人記者が日本に愛の檄 「3-0で勝つべき。もっと悔しがって」

6/26(水) 17:17配信

webスポルティーバ

サッカーに関わる仕事に就いてすでに35年以上になる。取材でどこの国に行っても、どの大会に行っても、みんなが私を温かく、笑顔で受け入れてくれる。それは、私がブラジル人だからだ。サッカーの国からやって来たからだ。

ブラジル人記者が森保Jを高評価。「日本の皆さんにお詫びしたい」

「第一に応援するのはもちろん自分の国だが、その次に応援するのはブラジルだ。私の第二の心のチームだ」と言う人にも、これまで何度も出会ってきた。陽気で楽しいプレー、誰にもできないようなテクニック、そんなブラジルサッカーのおかげで、世界の多くの人がブラジルを愛してくれている。

 日本の皆さんは、日本もこのブラジルに近づきつつあることをおわかりだろうか?

 こうした人々の親しみという気持ちを、ブラジルはW杯をはじめとした国際大会で何年もかけ獲得してきた。しかし日本は、たったの1試合で勝ち取ってしまった。少なくともブラジルではそうだ。今回のコパ・アメリカで、日本はブラジル人が応援する第二のチームとなった。 

 証拠がある。エクアドル対日本のテレビの瞬間最高視聴率は34%。およそ3500万人のブラジル人がこの試合を見たと推定されている。また日本、エクアドル、パラグアイのうち、ブラジルがどのチームと対戦してほしいかというアンケートには、73%のブラジル人が日本と答えている。

 日本対エクアドル戦が行なわれたミネイロン・スタジアムには1万2000人の観客がいた。うち1000人はエクアドルサポーター、500人は日本のサポーターだとして、1万人以上が地元のファンだった。彼らはみな日本を応援していた。この日は地元ベロオリゾンテの子どもたち2500人が招待されていたが、誰から教わったのか、日本語で「ガンバル、ニッポン、ガンバル、バル、バル」と日本に声援を送っていた。  その彼らが終了25分前になって怒り出した。それは本気で応援していたからに他ならない。日本の先制後、誰もが日本は4-0で勝つと信じていたのに、その後は弱いエクアドルを、日本は攻めあぐねていた。どうしたらいいか、わからないようだった。そしてなにより、日本から「勝ちたい」という強い気持ちが感じられなかった。

スタジアムに来ていた元鹿島アントラーズのジョルジーニョは、試合後、私にこう話しかけてきた。

「彼らは何を怖がっていたんだ? 負けること? 勝たなくてはいけないこの試合で? 僕は日本がわからない。これは彼らの試合だったはずだ。3-0で勝たなければいけない試合だったはずだ!」

「たぶん、彼らは疲れ果ててしまっていたんだろう」

 私は彼にそう言った。そう、そうでなければ説明がつかない。チームのモーターであるべき柴崎岳は、またどこかに隠れてしまった。頭をケガした後は、下がり気味で、おそるおそるプレーしているように見えた。

 久保建英は、確かに天才ですばらしい選手なのかもしれない。しかし、もう少し足元にボールをキープすることを学ばなければいけない。ブラジルのテレビ局『グローボ』によると、彼は少なくとも9回ボールを失っている。

「もし岡崎(慎司)が不調ならば、後半は別な選手に代えるべきだった」と言っていたのは、元ヴェルディ川崎のアモローゾだ。

「勝たなければ後のない日本は、命をかけたような試合をするのだと思っていた。少なくとも私はそう信じていた。しかし、その期待はあっさり裏切られてしまった。日本は世界にその力を知らしめる機会を失ってしまった。これは日本サッカーにとって大きな損失だ。なぜ前田(大然)をもう少し早く入れなかったのか。彼を温存する必要などない。この試合に勝たなければいけなかったのだから。日本はエクアドルよりずっといい試合をしていた。エクアドルよりスピードもあり、プレッシャーもかけていた」

 なぜ日本は前田と安部裕葵を終了ぎりぎりになるまで投入しなかったのか。私にも、どうしてもわからない。日本人的な理由があるのなら、ぜひ教えてほしい。特に前田は、入ってからの数分で2度もチャンスを作っている。彼にはヨーロッパのチームが注目していて、その中にはバルセロナの名前もあるというではないか。

 エクアドルのエルナン・ダリオ・ゴメス監督は、すでにコパ・アメリカを7度も経験しているベテランだが、試合後こう言っていた。

「エクアドルのメディアが、我々が敗退したことに怒っていることには驚いた。我々はコパ・アメリカで最も優秀なチームのひとつ、日本と対戦して引き分けた。優勝候補のウルグアイと血で血を洗う試合をしたチームだ。今日、エクアドルは今大会で一番いいプレーをした。日本選手のスピードとテクニックを封じることに成功した。私は誇りをもって国に帰るよ」

 奇跡など起こす必要はなかった。日本は、持てる力をすべて発揮して日本らしいプレーをすればそれでよかった。しかし、エクアドル戦ではウルグアイ戦の50%の力しか出せていなかったかのように見えた。

 多くのブラジル人が、日本とブラジルの対決を楽しみにしていた。コパ・アメリカの決勝トーナメントのひと枠を、非南米チームが得ることは、普通ならあまり快くは思われない。実際、もしカタールが勝ち上がっていたならば、少なからずスキャンダルになっていただろう。しかしそれが日本ならば、誰もが納得したはずだ。

「インテリジェンスで軽快、日本のサッカーは見ていて楽しい。彼らは勝ち進むに値するチームだった」

 ブラジルのメディアは異口同音に、そう日本の敗退を惜しんだ。日本は敗退するにふさわしくないチームだった。南米の人々は日本がコパ・アメリカの舞台から去ってしまったことを悲しんでいる。若く無名のチームが強豪を倒す。それはサッカードリームと言っていい。日本はみんなの心のチームになった。そのプレーで人々から心の国境を外したのだ。

 これが我々、南米の人間から見た日本代表だ。日本のサッカーは日本人が思っている以上にポテンシャルがある。日本人が思っている以上に人々から愛され、期待されている。だから、コパ・アメリカがいい経験になったなどと言わないで、敗退したことを心から悔しがってほしい。

リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon