「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は最近、急成長しているアパレルECサイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイについて聞かれることが多くなっているが、「あれは完全に(ショッピング)モールですよ」といってはばからず、暗にゾゾは《衣料品の製造販売の競争相手ではない》というそぶりを見せる。本当か?
柳井会長は「我々は衣料品の知見、資源をたくさん持っている」と強調し「企画から製造販売を一貫して行えるのが強み」と持論を展開する。その上で「ゾゾやアマゾンが市場をとるとは思っていないし、服を作っていくということはそんなに簡単ではない」とも言う。
実際、店舗で販売して何が売れているか、消費者の購買行動やトレンドを読み取り、それを企画に生かし、製造に生かしていくというのがSPAのメリットだとすれば、ユニクロはそれを「教科書通り」に実行してきたといっていい。
しかし、ゾゾの今後の成長の原動力となりそうなのが「ゾゾスーツ」という採寸スーツだ。
19年3月期にゾゾスーツを600万~1000万着無料で配布。ゾゾスーツで採寸を行った消費者などが、ゾゾのプライベートブランド(PB)衣料を購入するとみて、3年後をめどにPB売上高2000億円を含め、商品取扱高7150億円を目指すというのである。
ゾゾスーツを利用するには身体を360度スマホで撮影するが、これについて柳井会長は「あんな難しいことしなくても、簡単に採寸できる仕組みはたくさんある」と指摘する。
「そういった(技術を持った)パートナーと組んでやれば採寸の仕組みは即座にできる。センサー、カメラ、スマートフォンを全部ミックスした方法でやればできる」とも付け加える。
ならばユニクロも簡単に採寸できる方法を早く世に提示すればよさそうなものだと思うのだが…。
ゾゾスーツを入手した消費者は、やがてゾゾタウンの固定客となるのは必至。その販売データは蓄積され、それがビッグデータとなっていくのは間違いないだろう。
日立製作所の東原敏昭社長は日本経済新聞のインタビューで「データを基に設計図面を自動生成し金型や製造プロセスに落とし込める。データから何でも作れる。しかも少量多品種で。そんな時代が目の前に来ている」と話している。
だとすれば、ゾゾのゾゾスーツを基盤にしたビジネスモデルでは、採寸データとPBによるデータを蓄積しユニクロ柳井会長が強調する「知見や資源」が必要ない別の新しいアパレルの製造販売の効率のいい仕組みを構築しないとも限らない。
ゾゾはゾゾスーツを核に、まさにオーダーメードに近い形の生産販売方式を模索しているといえる。
そこには過大な在庫も廃棄も発生しない。
ビジネスモデルは違えど、本当にユニクロを超える日が来るのだろうか?