1980年代後半のある夏。郊外の家に暮らす11歳の沖田フキ(鈴木唯)は、仕事に追われる母・沖田詩子(石田ひかり)と闘病中の父・沖田圭司(リリー・フランキー)のもとで、豊かな感受性と想像力を膨らませながら、伸び伸びと毎日を過ごしていた。周囲の大人たちが抱えているさまざまな事情を垣間見ては、それを楽しんでいたフキだったが、両親がすれ違うようになり、彼女の生活にも変化が生じていく。
シネマトゥデイより

週末にドラゴンズの応援で名古屋遠征していましたが、午前中に時間があったのでホテル近くの伏見ミリオン座にて鑑賞してきました。伏見ミリオン座…映画好きのスターフが作り上げている感がありとてもよい映画館でした。

さて、本作ですが仕事に追われる母、闘病中の父と暮らす11歳の少女が、両親のすれ違いに戸惑いながら、周囲の大人たちが抱える様々な事情を垣間見る家族ドラマです。

この少女フキちゃんが大人たちを見ながら感情をあらわにするでもなく、小さなさざなみのごとく反応する様が実に妙味のある表現で描かれている作品でした。色々な境遇からヒステリック気味のお母さん、病床で身動きの取れないお父さん、伝言ダイヤルで繋がる大学生、母親が想いを寄せる人、夫を亡くしたマンションの住人…これらの大人に囲まれながら、大声をあげるわけでもなく、静かに表情で語るのです。妙演です。フキちゃんを演じた鈴木唯ちゃん…うまい。

この作品の設定は1980年代後半ですが、この時代の僕は高校生…時代背景がとてもよく理解できたような気がしました。皆んな、一生懸命に働いていて、そんなに娯楽もなくて…フキちゃんがテレビ番組の超能力の世界にハマるのなんてリアリティがありました。


お母さん役が石田ひかり、お父さん役がリリー・フランキー…キャストも良かったです。


そういえば笠松競馬場にお父さんとフキちゃんが行くシーンがあるのですが、どて煮を食べるシーンが競馬ファンの僕には懐かしかったです。


この作品ですが、個人的総評は星3つ。

★★★☆☆

見終わってジンワリくるけど、上映中は少し難解でした。とはいえ、作品に引き込まれてしまう不思議な作品でした。