東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山(役所広司)は、変化に乏しいながらも充実した日々を送っていた。同じような日々を繰り返すだけのように見えるものの、彼にとっては毎日が新鮮で小さな喜びに満ちている。古本の文庫を読むことと、フィルムカメラで木々を撮影するのが趣味の平山は、いつも小さなカメラを持ち歩いていた。

シネマトゥデイより


役所広司の最新作をTOHOシネマズ新宿で鑑賞してきました。東京・渋谷の公衆トイレ清掃員の何気ない日常を映し出したヒューマンドラマです。


この作品って「パリ、テキサス」や「ベルリン・天使の詩」を撮ったビム・ベンダースの作品なのですね。この二作品は僕も池袋文芸坐で鑑賞し、なかなかに感銘を受けた作品です。どうしていま日本の作品を作る気になったのですかね…


まあ、それはともかくトイレ清掃員の日常を追った作品ですが、素晴らしい作品でした。主役の平山のルーティンを淡々と描いているのですが、そのルーティンと描き方が素敵なのです。


朝、箒の佩く音で目覚める→布団を畳む→歯を磨く→植木に水をやる→仕事に出る前に缶コーヒーを飲む→カセットの音楽を聴きながら仕事場に向かう→トイレ清掃をする→公園でランチしながら木漏れ日の風景を撮影する→仕事終わりに銭湯に行く→行きつけの飲み屋で一杯の酒を飲む→本を読みながら就寝


日々、営業でバタバタと毎日を過ごす僕にはとても羨ましく見えました。このルーティンの合間に見せる平山の少しはにかんだ表情や考えたりする仕草がいいんです。そこに言葉はほとんどありません。役所広司ならではの表現力だと思います。


まあ、作品はここから色々とあるのですが、そのエピソードが実にいいんですよね。そして合間にかかるカセットテープから流れる音楽が実によく、こんな時代に僕にはなんだか刺さる作品でした。映像も昭和のドラマに出てくるような懐かしいアングルのように感じました。


この作品ですが個人的総評は星5つ

★★★★★

もう一度、じっくり見てみたい実によい作品でした。