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1990年 おかか5歳の夏の出来事です。

 

当時、両親が1回目の離婚をしたことにより、母親〝オカン〟と、おかか、そして妹の〝りーり〟の3人は、オカンの実家に一時的に移り住んでいました。

 

オカンの実家は、田舎町の山の麓にあり、まるで日本昔ばなしの世界を保存した様な、とても長閑で、だけどもちょっぴり怖い。不思議な雰囲気が漂う集落にありました。

 

家の前には、田んぼ、田んぼ、畑、そして田んぼが果てしなく広がり、家の後ろにはどどーんと綺麗な形をした山が鎮座しておりました。

 

突然の両親の離婚により、仲が良かった近所のお友達とお別れになり、おかかの友達は人間の女の子から、田んぼの中と、用水路と、溜池に住む小さな生き物たちに変わっていました。

 

 

その日もおかかは、大自然を相手に走り回って遊び疲れ、家に戻ると涼を求めて縁側のある和室の畳の上にごろりと寝転がりました。

 

お外から網戸越しに入ってくる僅かな風を体に感じながら、体温を畳に逃す様に、ごろごろと寝返りをうちました。

 

それをしばらく繰り返していると、虫刺されと、汗疹と、おそらく何かの雑草でかぶれた身体のあちこちが痒くなってきて、おかかはポリポリと体を掻き始めました。

 

無心で身体を掻いていると、おや、こっちも痒い。わぁぁ、こっちも!痒ぅぅぅい!と、次から次へと痒いところが増えていきました。

 

痒いと思った所は手当たり次第に、そして手加減なしに掻いてしまうのが5歳児です。おかかは、無我夢中でボリボリと身体を掻き続け、流れで、ぺっちゃんこのチチも、ボリボリと掻き始めました。

 

チチの先っちょが、掻けば掻くほど痒くなり、両手で両チチをボーリボリと掻きました。

 

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無我夢中で掻いていると、ポロリ・・・・と、〝何か〟が、チチの先っちょから転がり落ちるのを感じました。

 

そしてまた・・・ポロリ。

さっきとは、反対側のチチの先からも、〝何か〟が出てきました。

一つの〝ポロリ〟は、たまたま指先に残っておりましたが、もう一つの〝ポロリ〟は、どこかに転がって行ってしまったみたいです。

おかかは、転がり落ちてしまった〝ポロリ〟を探すべく起き上がり、這いつくばって畳の上を凝視しました。

 

するとすぐに、畳の上に小さな小さな黄色い塊を見つけました。


よくよく見て、おかかは思いました。

 

モンシロチョウの卵みたい・・・・・。

モンシロチョウの卵の様な色をしたそれを、指先で摘まんで拾い上げ、もう片方の指先で摘まんだままの物と見比べると全く同じ色と形をしていました。

 

 

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これは・・・・・何だろう・・・・・。

 

突然、チチの先っちょからポロリと出てきた物体に、5歳のおかかは首を傾げます。

 

〝謎の物体ポロリ〟を親指と人差し指の先で摘み、グリグリと転がすと、カリカリと硬い感触でした。



そこで、おかかはとんでもない事に気づきます。

 

こっ・・・・・・これは、乳首の赤ちゃんだ!!

 

この頃のおかかは、乳首は大人になったら生えてくるものだと思っていました。

 

もしかしたら、オカンにそう教えられていたのかも知れません。

 

大人になったら生えてくる乳首は、子供のうちは、おっぱいの中で眠っていて、そしておかかが大人になったら、ニョキっとおっぱいの先っちょから顔を出し、オカンみたいな乳首が誕生するんだろうなぁ。

と、漠然と思っていたのです。

 

それなのに、あろうことかおかかは、チチの中で眠っている乳首を無理やり掻き出し、外の世界に出してしまいました。

 

まだ、モンシロチョウの卵くらい小さい、赤ちゃん乳首なのに・・・・。

 

それに、掻き出してしまった乳首の赤ちゃんに、体と繋がる紐的なものは付いておらず、完全におかかのチチから切り離されてしまった様なのです。

 

とんでもない事をしてしまったと思いました。

 

オカンに、言うか、言わないか、おかかは考えました。

 

言えば、酷く怒られるかもしれません。

 

『自分で乳首を取っちゃう子なんて、もう知らないっ!!』と、泣かれるかもしれません。

 

この度の離婚騒動の中で、おかかはオカンの涙に衝撃を受けていました。

 

オカンという生き物は、大人だから泣かないと思っていたけれど、オカンは離婚が成立するまでの間、様々な場面で、何度も泣いていました。

 

おかかは、オカンの泣いている姿を見る度に、悲しさと、息苦しさを感じていました。

 

けれど離婚が成立し、オカンの実家で暮らし始めてからは、オカンの涙を見ていません。オカンはやっと自由を手に入れた蝶々みたいに元気になっていたので、おかかはとても嬉しく、そして安心していたのです。

 

おかかは、乳首の赤ちゃんをそっと隠すように、握り締めました。

 

オカンを泣かせたくないし、この事を話したら、病院に連れて行かれて、滅茶苦茶怖いお医者さんにめっちゃくちゃ怒られた挙句、滅茶苦茶痛い手術を受ける事になるかもしれません・・・・。

 

何より、無意識とはいえ、自分で自分の乳首を取ってしまった事を誰にも知られたくありませんでした。

でも・・・このまま乳首が無くなったら・・・・。と、不安な気持ちが込み上げて来ました。

 

私は大人になれるのかな?

 

おっぱいは、ペチャンコのままなのかな?

 

赤ちゃんは産めるのかな?

 

と、色んな疑問が浮かんで、どんどんと悲しくなってしまいました。

 

おかかは、長女でプライドが高く、〝お姉ちゃんらしくすることがカッコイイ〟と、思っていたので、泣く時はこっそり隠れて泣く子供でした。

 

他の部屋に居るオカンと、妹と、おばあちゃんにバレないように、声を押し殺してシクシクと泣きました。

 

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神様、どうかお願いします。

 

乳首がまた生えてきますように。

そして、長生きできますように。

そしてそして、ノストラダムスの大予言は、外れますように。

神様が、おかかの切実なお願いを、聞いてくれていることを信じて、おかかは手の中に隠し持った乳首の赤ちゃんを、縁側からお庭にそっと捨てました。


 

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それからずっと、おかかは乳首が取れてしまったことを誰にも言いませんでした。

あの時、乳首を失ったおっぱいは、心なしかスースーする気がしましたが、他に問題は無く月日は流れていきました。

そのうちに、乳首が取れた事なんてすっかり忘れて、また月日は流れ、おかかは大人になりました。

あの5歳の夏に、オカンの実家の和室の縁側で、神様に願ったおかかのお願いでしたが・・・・。

結果的には、叶いませんでした。

大人になっても、おかかのおっぱいの先っちょに、乳首は生えてはこなかったのです。

 

大人になって、おかかは知りました。

 

そもそも、乳首というものは〝大人になったら生えてくる物〟では無い。という事を

乳首は、〝生まれた時からおっぱいの先にある物〟なのです。

では何故、5歳のおかかに乳首がなかったのでしょうか。

そして何故、大人になったおかかにも、乳首が無いのでしょうか。

 

 

 

ー--答えは。

 

おかかの乳首が、〝陥没乳首〟だったからです。

 

陥没乳首とは、本来おっぱいの先っちょにピコーンと飛び出している乳首が、乳輪の中に埋もれていたり、内側にくぼんでいたりする状態のことをいいます。

おかかが、自分の乳首が陥没乳首だと知るのはなんと、長男を出産した後。という物凄く遅いタイミングです。

 

おかかが、自分の乳首が陥没乳首だと確信した時、この幼き日の、乳首が取れた事件を思い出しました。

実際には、皮膚を搔きむしっただけで乳首が取れるなんてことはありませんので、大人になってから振り返ると微笑ましい事件でしたが、当時の5歳のおかかにとっては、とてもショッキングな出来事でした。

あの時、ポロリと取れてしまって、おかかが乳首の赤ちゃんだと勘違いした〝ポロリ〟は、おそらくチチの先に溜まった、垢の塊だったのだと思います。

陥没乳首は、その形状故に、垢が溜まりやすいのです。




これが、おかかの乳首が陥没乳首であるが故に起こった最初の事件です。

 

この後、おかかは思春期を迎え大人になり、結婚して子供を産み育てていきますが、その節々で陥没乳首は事件を起こします。

 

そのなかで、自分の乳首が陥没乳首であると知り、沢山悩んで、沢山恥ずかしい経験もして、沢山泣いて、そして、陥没乳首の手術を受けました。

 

しかし、手術を終えてからも、おかかは乳首に悩み、沢山泣きます。

 

そして、自分の乳首とおっぱいを、『日本一出来損ないのおっぱい』と名付けました。

 

『日本一出来損ないのおっぱい』は、今も私のおっぱいとして、胸部にぶら下がっておりますが、様々な経験を経て、今ではとても愛おしいと思える存在になりました。

 

長い間、コンプレックスの塊でしかなかった私のおっぱいが、愛おしいと思えるようになるまでを、幼少期から思春期のお話、4人の息子達の、妊娠、出産、産後、育児のお話、旦那とのお話、お友達とのお話、オカンとのお話、同居のお話、を通してイラストとともに綴っていきますので、ぷぷぷっと笑っていただけたら、幸いです。

 

 

 

●ぼちぼちおかかの日本一出来損ないのおっぱい●

🌟第1話🌟 5歳で乳首が取れた! おわり♡

 

動画バージョンも是非♡👇