フェドカップ@兵庫 回想録 | テニスな仕事 - Tennis Around the World

フェドカップ@兵庫 回想録

4月16日から東京(有明)での開催を予定されていたフェド杯の準備の最中に、突然の東日本大震災。

それから3カ月、日本のFed Cupチームのため、応援していただいているテニスファンのため、そして

日本が世界に復興エネルギーの発信源になることを願い、あらゆる知恵と知識を振り絞って国際交渉に

努めていました。


その後、延期&開催地変更が認められ、今回の兵庫県(ブルボンビーンズドーム)を実現しました。

この選手の笑顔、そして世界に発信できたことを、うれしく思います。
Tennis Around the World

震災直後、4月の日本開催は不可能であることは、誰の目にも明らかに分かることでした。

それでも予定通り、国際テニス連盟(ITF)に東京開催を強く世界に主張し交渉すべき・・・

という声もありましたが、無謀な主張は、選手が悲しむ結果を導くものと考えていました。


盛田JTA会長(当時)を始めとする日本テニス協会の幹部から、何とかしてフェドカップを

日本(ホーム)で開催させる秘策の提案と交渉が私に一任されました。 私のミッションは

常にテニス界の超難問の解決策を見出す専門職ですので、過去の前例、規定の解釈、

あの手この手の執念の策で、幸い7月に日本で開催できることになりました。 しかし、

フェド杯ワールドグループ プレイオフの日程変更は、前代未聞の提案からの逆転決定でした。
Tennis Around the World
震災以来、アルゼンチン側は日本のどの都市で開催しようと不安を感じていたこともあり、

7月にはNo1のデゥルコが結婚式を控えるため、アルゼンチンもNo1不在のチーム編成に

大変不利な提案であったと、後で知りましたが、日本の提案(7月開催、兵庫県開催)に快く

理解を示してくれました。 アルゼンチンには心から感謝したい気持で一杯です。

Tennis Around the World    Tennis Around the World

また、優勝国(昨年の優勝イタリア)が保管するフェドカップ優勝杯を、日本に届けて欲しいと

ITFにお願いをして、さらにITFのリッチビッチ会長(IOC理事)にも来日していただきました。


そして、日本vsアルゼンチン戦の終了直後、コート上で来年のワールドグループのドロー抽選を

行いました。本来この抽選式は、全仏オープン期間中にローランギャロで行うことが慣例ですが

今回は、それも特別に延期して、このビーンズドームのコート上で、国際放映にして行いました。

Tennis Around the World     Tennis Around the World

日本の対戦相手は、ご来場された観客からの代表者を選び、その方が抽選するという、

これもまた前代未聞の特別企画で、会場は大いに盛り上がり、ITFも絶賛のユニークな

ドロー抽選会でした。 「紅組ジャパン」の対戦相手は、スロベニアとなり、来年の2月に

ホーム(日本)で開催します。 対スロベニアでホーム、昨年の敗戦から最高のリベンジです。


大会前には、強行日程ながらも、ITFリッチビッチ会長が仙台の被災地を訪問し、知事、市長、

および 東北のテニス関係者とも懇談会し、ITFが復興支援を約束していただきました。

Tennis Around the World
今回のフェド杯は、日本とITF双方に、大変意味のある開催となり、冒頭に示したように、

「悲願のホーム開催の実現、復興情報の発信、日本の女子レベルの発信」が出来たこと、

とても嬉しく思います。 サッカーのなでしこ同様、選手のモチベーションと笑顔は、

我々に、力を与えてくれますね。また、皆さんと一緒に「紅組ジャパン」を応援しましょう!

Tennis Around the World    Tennis Around the World