大晦日。

 

我が家は毎年、紅白を見ながら一年を振り返る。

 

今年は振り返るというか流れで過ごしたような気分だった。

 

 

恨みも辛みも2023年に全て封じ込め、新たな気持ちで2024年のスタートを切れるといいけど

 

それが本当にできるのかどうか不安だった。

 

それでも一年の最後の日はいつもおいしいものと美味しいお酒を楽しむ。

 

子供達も成長し、一通り食べた後はそれぞれ友達と初詣に出かけて行った。

 

一年も残りあと数時間というところで夫と二人きりになってしまった。

 

その頃には私も酔いがまわりいい気分で紅白を見ていたのだけど

 

いつの間にか12時を回っていて気が付いたら夫に起こされた。

 

寝てる間に年が明けたよ!明けましておめでとう!と夫は言った。

 

そして夫はソファーから降りると正座をし

 

「去年は本当に迷惑ばかりかけてしまいすみませんでした。

今年は心を入れ替えてがんばりますのでよろしくお願いします」と言った。

 

自分からそんなことを、それも正座をして言うなんて新年早々びっくりしてしまった。

 

女漁りがバレてどうしても許してほしいために土下座をしたことは数回あった。

 

でも何も言われずに謝罪をしてくることは今までには一度もなかった。

 

この時だけだとは思いたくない。

 

この先またあちら側に行ってしまうことだってあるかもしれない。

 

ただ、今現在の夫の気持ちはこういうことだったのだろう。

 

謝ってよと言えば口だけで謝っていたことは何度もあった。

 

でも夫が自ら私に謝罪をしたことはこれが初めての事だった。

 

私に鬼のような形相で名誉棄損だ!と怒った夫の顔とは別人のようだった。

 

こちらこそ、よろしくお願いします。と私は言った。

 

夫を追いだし話はあらぬ方向へ拗れ修復はもう不可能だと思っていた。

 

そこまで家族を裏切り、認めることもせずに全てを捨てたような夫は

 

地獄の入り口の一歩手前にいた。

 

依存症に取り憑かれていることも自分でわからないくらい夫はおかしくなっていた。

 

その夫が素に戻り新しい年からは自分をもっと飾らずに生きていこうと思ったのだ。

 

死ねばいいと思っていたし、あのままでいったら私は自分の手を汚す可能性もあったかもしれない。

 

そのくらい私は恨んでいたし復讐に執念を燃やしていた。

 

それだけを支えにこの別居生活で生きてきた。

 

でももう終わりにしようと思った。

 

気負いなく、私達のペースで家庭を作っていく。

 

それがこの一年の目標になった。