ミラー! (715)記念会食
記念式典が終わり、招待客は会食がある。もちろん僕は広報室長なので、参加しなければならない。名刺片手に会場へ。入り口で制帽を預け、中へ。たくさんの支援団体の人や地域自治体、そして個人支援者など様々な人たちが会食会場にいる。VIPになればなるほど奥というか舞台に近くなる。まあ僕は真ん中あたりかな?
司令の挨拶やら支援団体の会長挨拶、そして国会議員などの来賓者の挨拶を終え、会食開始。会食が始まるとある程度食事をおなかへ入れ、あいさつ回り。というか、普通この僕が行かなければならないのに、いろんな人があいさつにやってくる。名刺交換の嵐。お父さんと同じ与党の議員の人にはお父さんのご機嫌伺い的なことを言われ、そしてお決まりの跡継ぎ問題の話。いつ?って何度も何度も聞かれる。もちろんまだまだ現役のお父さん。笑ってごまかしている。名刺を誰と交わしてどんな話をしたかわからないくらい人と会い、話した。そして会食のお開きの時間。司令の挨拶があり、お開き。
春斗はこのまま大阪空港から東京へ行くので、会場外で時間が来るのを待っていた僕の家族。着替えなどは送り、小学校の制服を着せ、ランドセルを背負わせた状態で待っていた。
「パパ!春斗おじちゃん!」
と、未来と美紅が大きく手を振った。もちろん子どもたちの制服を見て反応するお偉いさん達。
「おや?弐條さんとこの子供さん?慶應とは…優秀な…。」
と声をかけるある国会議員。もちろん春斗は苦笑。
「いえ、この私の甥と姪です…。ここにいる弟の子供たちでして…。」
「あ、遠藤元総理のお孫さんでしたか!それはそれは将来楽しみですな…。」
と微笑みながら立ち去って行った。一緒に来ていた美里も苦笑。
「お、美希ちゃんやん。初めまして。写真とは違ってむちゃくちゃかわいいやん。さすが立花真里菜とお前の娘やね。ちょっと抱かせてな。」
と、大きな眼でじっと見つめている美希をそっと抱き抱えてあやす。もちろん美希は喜ぶわけ。はっとして時間を見ると、いい時間。そろそろここを発たないといけない。
「じゃあ、この二人連れて帰るな。ま、ちょっとの間3人でゆっくりしたらええし。」
「うん、春斗頼んだよ。」
「任せとき。」
と春斗はそっと美希をベビーカーへ戻すと、うちのちびたちの手を取って、駐車場へ向かった。あと1時間弱。何かない限り自由にしてもいい時間。何かあれば携帯へかかってくるし…。とりあえず美里は有名人だからね、混乱を避けるために司令部にある広報室へ連れて行くことにした。