ミラー! (706)忙しい日々
4月も終わりに近づき、記念祭や神戸でのイベントへ向けて、とても忙しくなってきた。東京にいる子供たちの行事もできる限り行くようにしていても、どうしても休みが取れない現実。しかし毎日できる限り家へ電話して一人一人と話すのが日課だ。毎日毎日送られてくるかわいい美希の画像も楽しみでたまらない。美里も順調に回復している。美希は未来の時とは違ってちょっと手がかかるみたいで、大変そうだ。一緒に住んでいるのであれば、僕が一緒に美希の世話をして少しでも美里を楽にしてあげようと思うけれど、それは無理。だから僕は美里へ愛情のこもった言葉を電話で話した。未来も美紅も毎日楽しそうに通学していて安心した。とりあえず大切なイベントが終われば代休を取ることにしている。
ゴールデンウイークは、当直だった。ま、僕が買って出たというか。できる限り部下たちに休みを取らせてやりたかったというか…。ま、家にいても何もすることがないから、駐屯地にいて書類を書いたり、神戸でのイベントの手配書類やら、たくさんたまった仕事をこなしていた。
「あ、遠藤3佐!いらっしゃってましたか!」
と、ある陸士が広報部へ駆け込んできた。なんか急いでいる様子だった。
「なんですか?」
「今スグ医務室へ来てもらえないでしょうか?」
「え?どうかしたの?」
なんか急患のようだ。GW中なので医務室は閉まっているし、医官は休み。そして民間の病院も休みだしね。ちょうど医官の僕がいると聞いて、駆け込んできたみたいだ。衛生隊の当直隊員がいて急患の様子を見たらしいけれど、医官じゃないといけなかったみたいだ。久しぶりに医官としての仕事。おなかの痛みを訴える隊員の診察。もちろんここでは治療に限界があるから、急遽診断書を書いて、自衛隊病院へ転送の手続きを取った。
「遠藤3佐が当直で助かりました。」
と衛生隊員が頭を下げる。僕も駐屯地内で久しぶりに医官として必要とされて良かった。前の駐屯地では全くそういう急患時に呼ばれなかったしね。
また広報室へ戻り、当直勤務。あと一人広報陸曹がいて、一緒に仕事。師団広報は、休みなんて関係ない。師団関係の事件事故、そして問い合わせ等に応じなければならない。先日も色々なマスコミの問い合わせがあったりしてバタバタしていた。駐屯地内であれば、駐屯地の広報幹部に任せればいいことなんだけど、師団全体に関わることはすべて対応しなければならないしね。だから休みなんて関係ない。24時間誰かが待機している状態というか…。
「室長、もう時間ですので帰られてもかまいませんよ。」
と広報陸曹が声をかけるまで、ずっと神戸のイベントの書類を読んでいた。初めて神戸港上空を航空自衛隊機が飛ぶ。それもブルーインパルスの曲芸飛行。少しでも時間がずれたりすると、航路過密地帯にある地域なので、民間旅客機に影響が出る。1分1秒の戦いなのだ。また、民間空港に自衛隊機を離着陸させるということで、反対している市民団体もいることは確かであったり、前日当日の空港入場規制等の対応がやってみないとわからない的な感じ。ほんと僕の初大仕事。やはりこういうのは僕の政界ルートの根回しをしないといけないようだね。ま、お祖母ちゃんが陰でいろいろ動いてくれているみたいだけど…。だから今度神戸へ打ち合わせをした時には、お祖母ちゃんに会ってこないとね…。お祖母ちゃんの大好物を持って…。