ミラー! (703)入学式
朝早く、僕は子供たちを起こし、美里のお母さんが作ってくれた朝ご飯を食べさせる。優希は制服へ着替えてランドセルを背負い、登校して行った。優希は6年生。早いものだ。そして今日から未来と美紅は、1年生になる。真新しい制服に手提げかばんを持って、入学式の行われる小学校の講堂へ歩いて向かう。美紅と未来は仲良く手をつないでいる。ほんと双子のよう。双子といってもわからないだろうね。同じ生年月日だし。半分同じ血だから似ているところもある。なんか昔の僕と優奈をみているようだ。優奈は小さめで僕は大きめの1年生だった。そうだな…身長差が10㎝近くあった。美紅と未来もそれくらいの身長差がある。
僕は美里が準備してくれていたスーツを着て、未来と美紅の後を歩く。この日が来るまでに、美里とともに毎日登校する道を散歩していたから、未来と美紅は道をよく知っている。
学校へ着き、受付を済ませる。クラスは離れてしまったけれど、ちょうどとなり。
「双子ちゃんですか?」
と、同級生のご両親と思われる人から声をかけられる。僕は苦笑。どう答えたらいいんだろうね。
「いいえ。一人は僕の娘で、もう一人は妻の連れ子なんです。」
ま、間違いはない。未来は僕の子供であるけれど、美里の連れ子。間違いではない。
「遠藤!久しぶり!」
と懐かしい声。中高時代の同級生だ。ここの先生をしている。
「ほんと遠藤は変わらないよな。え?」
「実は、娘と息子が今日からお世話になるんだよ。だから。」
「あ、聞いたぞ。去年立花真里菜と再婚したんだよね?」
「うん。娘は僕の子で、息子は妻の子なんだ。」
「そうなんだ。俺、1年担当だから、よろしくな。あ、そうそう…。ここの学校、特にこの学年、有名人の御子息が多いらしいから。」
「んん…。」
というと忙しそうにその場を離れていく。そういや見たことある顔がちらほら。女優の娘、スポーツ選手の息子。政治家の娘などなど…。なんだかんだ言ってこの学校は大学までエスカレーターの有名私学だしね。ということはうちの子も有名人の御子息になるわけ?立花真里菜の息子。そして元総理大臣遠藤孝志の孫。
入学式が始まる。やはり優希のいっている学校と校風がちょっと違う。優希の小学校にも有名人の御子息がいたけどね…。でもなんか違う。なんていうのかわからないけど…。
何とか入学式には間に合ったけれど少し遅れてやってきたお母さん。式が終わった後、若手政治家につかまり、挨拶をされていた。なんだかんだいって元ファーストレディ―。さらっと挨拶をしてその場を離れる。お母さんは美紅のクラスへ、僕は未来のクラスへ向かう。そして初めてのHR。未来の担当は僕の同級生だった。まあそれはいいけど…少し緊張した表情の未来。名前を呼ばれた時、少し遅れて返事をしてしまって周りの親たちから苦笑…。美紅はというと小さな声で返事をしていたらしい。美紅は人見知りの恥ずかしがり屋。慣れると大丈夫なんだけどね。
とりあえずは無事に入学式は終了。未来のクラスに有名女優の娘がいたりしたけど…。美里は知っているかな?その女優のこと。確かシングルマザーだったよね。離婚したかなんかで。歳は確か僕と同じ。僕がタレントしていた時にアイドルだったような気がする。ちょっと目があったりしたけど、ま、関係ないか。