ミラー!(700)出産報告
妻、美里の帝王切開手術も無事終わり、可愛い娘も元気に新生児室へお世話になっている。手術の後、看護師さんが僕の家族たちに生まれたばかりの美希を見せたら、ほんと美紅は喜んじゃって、「妹、妹」とうるさかったらしい。未来も怖々生まれたばかりの美希のほほを触って喜んでいたみたい。もちろん、美里の事務所関係者も来ていた。
手術後落ち着いたころ、美里の部屋へ女性マネージャーがやってきた。もちろん今回のことに関してマスコミへ知らせる承諾を貰いに来たわけ。手書きのFAXにしようってことになって、まだ横になったままの美里は書けないから、この僕が代筆。最後のサインだけ美里に描いて貰うことになった。
「本日4月2日午前。私、立花真里菜の第2子となる待望の赤ちゃんが生まれました。体重は2850gの元気な女の子です。名前は主人と私の本名から1字ずつ取って「美希」と名づけました。これからも宜しくお願いいたします。 立花真里菜」
と、簡単な報告文を書き、マネージャーへ手渡す。何とその日のスポーツ紙に小さいながらも載る。そして次の日の朝の情報番組の芸能ニュースにも、FAXが紹介された。その途端、芸能関係者から病院へ。そしてファンから事務所へお祝いの品が届けられた。ものすごいお花やプレゼントに囲まれた美里。とてもうれしそうに眺めていた。
次の日には、もう歩く準備。廊下へ出て歩けない美里はゆっくり部屋の中を歩く。僕は彼女に寄り添い、介助。
「早く美希ちゃん来ないかしら?」
と、美里はそればかり。帝王切開をしたからもうちょっと同室は遅れる。ゆっくり体を治す事から始めないとね。美里が横になって休んでいる時に僕は新生児室をおじゃまして、美希をだっこさせてもらっている。もちろんミルクもやった。思ったよりも小さくて華奢な女の子。手足が長いのはほんと美里似だね。まだはっきり分からないけれど、もしかしたら目の色は僕に近いかも。少しグレーがかった黒。ほんと目鼻立ちがしっかりした色白の女の子。小児科中の看護師さんが、将来美人間違いなしと太鼓判を押すくらい。ミルクを飲ませた後も、離したくないのでじっと座ってだっこしていると、新生児室担当の看護師さんに取り上げられる。
「遠藤先生。いくらかわいいからってずっとだっこはいけませんよ。」
「別にいいじゃない?休暇終わったらまた単身赴任で、なかなか美希に会えないし…今のうち今のうち。」
その言葉に苦笑している看護師たち。ほんとかわいくてかわいくて仕方がない。子供好きは子供好きだけど、自分の子供だから格別。それも美里との子供だし。美里を嫌っていた昔がうそのよう。幸せで幸せで、仕事に戻りたくないくらいだった。