ミラー! (693)女難? | 超自己満足的自己表現

ミラー! (693)女難?

 転属前の週末、芦屋の弐條家へ。朝早くからお祖母ちゃんからの呼び出しだ。なんか知らないけれど、お祖母ちゃんの機嫌が悪い。どうしてだろう…。



弐條家へ到着すると、見慣れた車が止まっている。品川ナンバーの黒のレクサス。ナンバーをみるとお父さんのものだった。案の定リビングにはお父さんが父さんとともに座って難しそうな顔をしていた。二人は僕に気付くと、早くこっちへ来いとジェスチャーをして座らせる。



「なんで父さんたちがここにいるわけ?」



すると父さんが僕にこそっと…。



「昨日、深夜にな。お義母さんから電話があって…今スグ来いって…。仕方なく、遠藤と一緒に車飛ばして今朝着いた。」



と、二人交代で運転をして東京から芦屋までやってきたみたいだ。二人とも忙しいのにさ…。



「仕事は?」

「ま、俺も遠藤もキャンセルできるようなものだからよかったけれど…。たくっ、何したんだ?春希…。」

「え?何って…?」

「お義母さんは、お前のことでたいそうご立腹でね…。」



身に覚えないんだけど…。



 少し経つと、お祖母ちゃんがリビングへ入ってきた。やはり機嫌がよくないらしい。手に持った茶封筒をお父さんへ手渡す。



「遠藤君、これ見てみなさい。」

「はい…。」



中身はというと、なんか見慣れた風景の写真。それは僕の家の前。それも夜。僕と女性が写っている。もちろんその女性は例のグラドルだ。



「うちの事務所に出入りしている政治記者が、系列スポーツ新聞記者から弐條家がらみだからって取り上げてきたものよ。どういうことなの?春希。それでなくてもあなたの奥さんはタレントなのよ。この如月っていう女性は何者?浮気しているの?それとも何?これは弐條と遠藤の汚点材料よ。美里さんがタレントというだけでいろいろあったのだから…。」



誤解。



ま、この日家に上げたのは確かだけど、それはタクシーが来るまで寒いからってだけ。告白されたけど、もちろん断ったし。



きちんと経緯はお祖母ちゃんに分かるように話した。家に上げてしまったのはよくないことだけど、でも…女性一人を放置するなんてできないし…。



「そう・・・。今回は春希を信じましょう。本当に気をつけなさいよ。とりあえず、この女性をこちらへ呼び出してあります。きちんとしておかないと。女性問題はもうやめなさいね、春希。」

「はい…。」



なんか…いつも僕が女性問題を引き起こしているみたいじゃないか?

女難?

勝手に女性の方から来るのにね。

ま、僕にとって、未来と美里のことが一番の汚点だったけれど、もう再婚しているし、未来もきちんと認知して父親欄に僕が載っているわけだし…。それだけだよ。



 お昼前かな?如月あやなと事務所の社長が到着。美里と事務所が同じだからお祖母ちゃんと社長は面識がある。美里と僕が結婚前提で付き合っていると聞いた時も、社長を呼びだしているし…。お祖母ちゃんは社長と彼女へ事実関係をはっきりして謝罪とこれから僕へ関わらないことを約束させた。



「如月さん?あなたうちの大切な孫に近づかないでくださいね。あなたの気持ちはどうであれ、春希はあなたのことを何とも思っていないようですので。わかってくださらないようでしたら、あなたのような小娘を潰すくらい簡単です。おわかりよね?」



そういうとお祖母ちゃんは部屋を出て行った。



はあ…なんかね。やはりこの家柄…億劫…。



まあ、如月あやなの恋愛問題は、握りつぶされていつの間にか忘れられたけど…。ほんと嫌になるわ、この家系…。