ミラー! (685)一時帰省 | 超自己満足的自己表現

ミラー! (685)一時帰省

 妻の美里はなんとか退院。頼み込んで有休を取って東京まで送ることになった。といっても一泊二日で帰るんだけど。



僕は妻の荷物を持ち、搭乗手続き。まだちょっと調子悪そうな美里。でも人前ではそのように見せないところが女優だ。おしゃれなマタニテイーの装い。クリスマスに僕からプレゼントしたヒールのないおしゃれなブーツ。(実は妹に選んでもらったりする)おなかが目立たないAラインのコートにおしゃれに結んだマフラー。ほんとちょっと高級志向なマタニテイー雑誌に載っていそうな装いだ。さすが元カリスマモデル。美里と出かけるときは、美里が僕のコーデイネイトをしてくれるから助かる。僕が適当に選んだらダサいって言われる。老けて見えるらしい。ま、普段は制服だし…。



 羽田までだけど席はいい席を取った。一番空いている時間なので、貸し切り状態だったので安心。これで普段の美里に戻る。



「美里、大丈夫?気分悪くなったら言ってよね。これでも僕は…。」

「わかってるわ。春希さんはお医者様ですもの。産婦人科じゃないけど・・・。」



と美里は微笑む。でもなあ…お医者さまだって言っても最近それらしいことしてないような気がする。僕はこれでも防医大をトップで出ているし…僕の現状を知っている様々な民間病院の先生たちはもったいないと言っている。そして辞めて来たらいいとまで…。これじゃなまってしまう。



この東京行きで、恩師の教授に会ってこようと思っている。もともと東京へ戻ったら会おうと約束しているしね。教授は僕が小さいころからの主治医だし、専修医のときもいろいろ指導してくださって、いつも経過観察などの軽度な関西の患者さんへの紹介状はこの僕へやってくる。僕は呼吸器系でお世話になったけれど、本来は僕の専門と同じ。その筋の権威。この前も電話で、本気で小児科医としてやっていくつもりであれば、アメリカの最も権威のある専門大学病院の教授を紹介するから留学してみてはどうかと言われたっけ…。



 色々考えているうちに羽田に到着。美里のマネージャーが迎えに来てくれた。そして自宅へ。もう少し休養が必要だからと、即寝室へ。ま、僕が診察したところ、問題ないかな?



僕は美里の頭をなでて微笑むと、美里も微笑み返してくれた。



「ごめんなさい。忙しいのに休み取ってくれて…。」

「いいよ。たまには。優秀な部下たちだしね。僕がいなくても何とかなるし…。」



そういうと飛行機で疲れたのか、すうっと美里は眠った。