ミラー! (679)急なお客様
12月30日。無理しない程度に妻と一緒に大掃除。塾で居ない優希は別として、ちびたちは窓ふきを手伝ってくれる。まあ、一人暮らしだし、普段は家に帰ってくると寝るだけのような生活だから汚れも少ない。
ささっと済んで、妻の入れてくれたコーヒーと手作りケーキで時間過ごす。すると妻の携帯が鳴る。仕事?それとも?妻は電話をいったん切り、この僕へいう。
「ねえ、春希さん。去年駐屯地での夏祭り。私と一緒に出ていた後輩いたの覚えてる?」
「うん。新人グラドルだよね?」
「そう。キャンペーンで近くに来ているんだって。実家も近くだからうちに遊びに来てもいいか?って。」
そういや後輩グラドルの出身は、大阪府北部。うちから車で15分くらいのところらしい。年末のキャンペーンのあとその足で帰省するらしく、そのついでにうちへ来るとのこと。ま、部屋は片付いているし、お茶菓子くらいはある。来てもらっても支障はない。
「いいよ。久しぶりに会うんだろ?来てもらったら?あと1時間くらいしたら優希のお迎えに行かないといけないし。もしよかったら未来と美紅もつれてきて、どこかで軽く食べてくるけど?二人でゆっくりしたらいいよ。」
「ほんとにいいの?」
「うん。なかなかモデル関係の人と話す機会が最近ないでしょ?たまにはそういう話もしたらどうかな?」
妻はよろこんで後輩へ電話をする。もちろんうちの住所も教えた。
半時間後、タクシーでやってきた妻の後輩。タレントって感じでサングラスに深い帽子。でもオーラがあるんだよね。そういうところ、グラドルというか。といっても僕は、彼女に対して何も思わない。グラドルってあまり好きじゃない。妻の後輩は、帽子とコートサングラスを外し、荷物を置く。やはりなんていうのか…まあ…僕のタイプじゃない。若い子たちは興味あるんだろうけれど、ああいう派手な感じが嫌いなのだ。だから妻のグラドル時代はとても嫌ってた。いいとも思わなかった。
僕ってダサいんだろうな…。最近部下にもおっさんくさいって言われる。特に女の子達には、顔とのギャップがって…引かれる。ちょっとショックだったりするんだけど、ま、これが僕の性格だから。
妻とお客さんにお茶とお菓子を出し、そろそろ優希を迎えに行く時間なので、ちびたちと外出準備。ちびたちはドライブとちょっとした外食ということでとても喜んで早く行こうとせかす。
「じゃあ、美里、ゆっくりね。」
と言って家を出て愛車レクサスで、優希の待つ西宮の塾へ車を走らせた。