ミラー! (678)休暇
さあやってきた冬期休暇。朝、美里が作ったお弁当をカバンに詰め、塾の冬期講習へ出かける優希を僕が塾まで送る。いつもと違う塾に通う優希。何とか雰囲気にもなじめて、頑張って来年に向けた受験勉強をしている。
「パパ、今日さ、小テストなんだよ。ああ緊張する。僕のいるクラスってさ、灘とか、関西での超難関クラスなんだって。」
「灘中はさ、春斗伯父さんの通っていた中学だよ。」
「うん知ってる。この前春斗伯父さんが言ってたよ。関西なら灘やねって。ほんと塾のみんな頭良くてね…。」
「ふうん。刺激があっていいんじゃない?」
「最終日はね、模試があるんだって。合否判定テスト。」
「じゃあ頑張らないとね。せっかく楽しみにしているお正月を塾に費やすんだから…頑張らないとね。」
と、西宮にある塾まで色々話した。
塾の休みは元旦のみ。元旦は、芦屋の弐條家へあいさつに行かないといけない。
「はあ…。せっかくこっちにいるのに、歩ちゃんと会えてないや…。歩ちゃん元気かなあ…。」
そう…塾が忙しくて会えないまま…。もちろん歩ちゃんは元気だよ。そして優希がこっちに来ていることも知っている。でも、父親を通じて塾で忙しいと伝えられているらしい。優希は歩ちゃんが好きなんだもんな。歩ちゃんが初恋らしい。
「冬休みの最後の日に少しだけ会えるんじゃないかな?」
「え?」
「塾も終わっているし…。飛行機に乗るのはお昼過ぎだろ?少しくらいなら大丈夫だと思うよ。優希。」
その一言に優希はとても喜んだ。
「じゃあ頑張っていい点取って歩ちゃんと会うね!」
といい、車から降りて塾へ向かった。歩ちゃんと仲良くなってから徐々に成績が良くなっている優希。もちろん歩ちゃんも受験はしないけれど頑張って勉強をしている。お互いいい方向へ行っているんじゃないかな?二人の関係は…。