ミラー! (671)一時東京へ
記念式典の次の日、本来であれば代休なんだけど、東京へ移動。車両担当の隊員はぶーぶーいいながらも、安全運転で一路東京へ。中国道、名神、中央道を乗り継ぎ、東京へ向かう。相変わらず、僕は楽なもの。小型トラックの助手席に座っているだけ。部下の陸曹が交代で運転してくれる。
中央道は自然な多いから、綺麗な景色を見ながら進んだ。もちろん途中のSAで、大好きなキャラメルを仕入れる。そして部下たちへの差し入れも忘れない。派遣から帰ってきてろくに休日もない部下たち。疲れているのも知っている。
SAにいると、こういう車両が好きな人たちが集まってくる。もちろん僕の部隊の車両と同じものは、全国に合わせて5台しかないから珍しい。携帯で写真を撮っていく人、呼びとめられていろいろ聞いてくる人ももちらほら。内部を見せるわけにはいかないけれど、できる範囲内で説明をしたりする。
何とか予定時刻内に観閲式が行われる朝霞駐屯地へ到着。指定された駐車スペースに車両を停めて、到着後の雑用を済ませる。もちろん式典のための資料も貰い、部下たちへ配った。泊りは一応、駐屯地内。僕らの部隊は強行参加だから、他の部隊よりも気合入れて練習やら予行をしないといけない。
久しぶりの観閲式参加。防医大時代に出た以来になる。ま、部隊で唯一流れを知っている。貰った資料を片手に、運営関係者を交えて会議を重ねる。他の参加部隊の足を引っ張らないようにね。
練習や予行がない日が1日だけあり、その日は皆自由行動。もちろん僕は自宅へ戻る。一部の部下が、うちへ遊びに行きたいと言っていたので、いいよというと、なんだか知らないけれど、部下のほとんどが来ることになった。まあ、大きな家だからいいけれど…。
前もって伝えておいたから、美里は嫌な顔をせずに迎えてくれた。子供たちは学校と幼稚園だから、いなかったのは残念だけど、美里が準備したランチをワイワイいいながら食べる。
「ほんと中隊長ってお坊ちゃんですね。」
「え?そうかな?」
「だってこんな大きな家へ住んではるんでしょ?いくら幹部自衛官でも普通は無理ですよ。ここ東京でも有名な高級住宅地ですし…。」
ん・・・ま、そういえばそうかもしれない。
「ここは、実父からの生前贈与で貰ったんだよ。だからと言って優雅な生活はしていないよ。」
「でも、中隊長の車ってレクサスじゃないですか?結構給料いいんじゃないですか?俺たちに比べたら。」
まあそうだね。医官という特殊な免許持っているから手当がいいし、色々手当がついているのは確かな話。査定も結構いいみたいだし…。でも、一般の医師に比べたら年収は低い。そして最後には…。
「やはり奥さんが、立花真里菜さんだもんなああああ。家帰ってきたらこんな美人がいたら頑張れるよね。」
という始末。結局それが言いたいらしい。何処へ行っても、奥さんが立花真里菜でいいですねって言われる。家じゃ普通なんだけどね…。