ミラー! (670)祝賀会食 | 超自己満足的自己表現

ミラー! (670)祝賀会食

 体育館で行われる祝賀会食。VIP招待客をはじめ、OBや地域協力会などの招待客が集まる。やはり方面隊だからか、招待客が多くてすし詰め状態。僕はお父さんの付添い人として参加。総監や駐屯地司令。さまざまなVIP招待客からのあいさつの後、乾杯。



その後、会食開始なんだけど、やはり有名政治家の周りには人だかりができる。もちろん僕は後継者として扱われるわけだから、名刺ケース片手にお父さんとともに挨拶を交わす。おなかがすいたのに食べられない状態。横にいる美里も有名タレントなので、サインや握手を求める人で列を作る。人人人で、元気な僕も疲れるくらいだから、美里はどうなんだろう。いくら慣れているとはいえ、身重。



ちらっと春斗が気になって見てみる。やはり選挙が絡んでいるからか、雅美を連れてあいさつ回り。総監部のあるところの地域は選挙区ではないけれどね。でも顔を売っておかないと。



まあ、兄である春斗よりもこの僕のほうが顔が売れている。いつもあいさつなどに行くと、「ああ、遠藤春希さんのお兄さん?」と言われるらしい。それで余計に頑張っている。まあこういう場は一種の選挙運動の場でもあるし…。有力な人たちが集まるからね。



「遠藤代議士。いつ息子さんはあとを継がれるのですか?」



と、支持者と思われる初老の男性に声をかけられたお父さん。苦笑しながら…。



「春希はまだやりたいことがあるみたいですので…。まだ私も頑張れますからね。」



という。あと2,3年は自衛隊で頑張りたいと思っているのは確かだし、そのことをお父さんに報告している。そうだな…。お父さんはあと2期衆議院議員を務めたらってとこだろうか。自衛隊を辞めたら、政治家として修行もしようと思っているし…。



 祝賀会も中盤の頃、ちょっと疲れ気味の美里と雅美を呼んで、会場の隅のほうに椅子を借りて座らせる。



「ありがとう…。」



と雅美と美里が言った。僕は食べるものと飲み物を二人へ運んで、食べてもらう。二人ともあいさつばかりで、何も食べてないからね。僕はデザート類を持ってきて一緒に食べた。



「ほんとに二人とも大丈夫?」

「うん。なんとかね。私はいいけど、雅美さんはさ来月予定でしょ?ほんと疲れると思うわ。」



と雅美に気遣う美里。ほんとそうだね。いくら体力はあるといっても妊娠後期には疲れると思う。心配された総監OBである大叔父さんも、雅美のそばにやってきて、いろいろ聞いてくる。



「雅美、つらいようだったら、ここを抜けて、実家の部屋で横になってきたらいい。春斗君に行って迎えに来てもらえばいいことだから。」

「ありがとう、お父さん。大丈夫。遠藤が椅子持ってきてくれたから…。」



ほんと心配そうな表情の大叔父さん。もちろん春斗も気になってちらちらとこちらをうかがっている。雅美は頑張り屋さんだから心配だよね。頑張りすぎて、玲奈ちゃんを早産したんだし…。



 何とか会食も終わり、お父さんたちは僕の自宅へ戻る。着替えた後、お父さんたちと美里は東京へ戻ることになっている。僕はお父さんとお母さんに美里のことを頼んで手を振り別れた。といっても来週行われる自衛隊観閲式のために東京へ戻るんだけどね。