ミラー! (668)方面隊記念祭 | 超自己満足的自己表現

ミラー! (668)方面隊記念祭

 方面隊記念祭当日。いつもよりも早めに出勤。まだ開門2時間前だというのに、ちらほら入場待ちしている一般の人たち。いつものように自転車から降り、IDカードを見せると、警衛の隊員たちは佐官の僕に対して号令をかけ一斉に敬礼をする。僕も敬礼で返し、再び自転車に乗り、衛生隊の建物へ。そして準備を始めている部下の元へ。



この日までにきれいに磨き上げられた方面隊に一組ずつしかない最新鋭の衛生車両。観閲式車両行進のため、定位置に駐車も完了。あとは時間が来るのみだ。



 開門されたみたいで、お客さんがたくさん流れ込んできた。僕は、正門へ急ぐ。なぜって?僕の養父が来るから迎えに。もちろん一緒に美里も乗ってくる。黒の高級車2台が、正門から入ってきて、司令部の入っている建物前でとまる。もちろんうちの家族たち。1台には養父母が乗り、もう1台には、弐條代議士の代理で来ている春斗と雅美。そして美里。やはり養父たちはVIP待遇。もちろん代理で来た春斗もそう。ま、養母や雅美と美里は同伴者だから、養父や春斗と別れて、この僕と合流した感じ。



 あとひと月半で生まれる雅美。ずいぶんおなかも大きくなってきた。そして美里も細めのマタニテイーのスーツ。ま、傍に妊婦とはいえ、産婦人科医の雅美がいるから安心安心。養母もいるしね。この3人は一般招待客扱い。だからぎりぎりまでこの僕がエスコートしないとね。



 正門から桜並木通りを通り、会場へ向かう。桜並木通りでは隊員たちが売店をしている。それを眺めながら4人でゆっくり会場へ。こっそり僕と美里は手をつないでみる。なんだかんだ言って僕と美里は新婚。でもやっぱり照れくさくなって手を離す。それを見た雅美と養母が微笑んだ。



さすが美里は有名カリスマタレント。人だかりができる。サインを求められることもしばしば。だからかなかなか先へ進めない。やっとのことで、式典が行われる会場の招待席へ着く。係の隊員に座席表を見せ、指定された席へ向かう。なんか一応僕の席もあった。



「春希?式典に出るんじゃないの?」



と養母が声をかけた。



「うん。観閲行進だけね。そろそろ着替えいいかないと。でも…。」



というと雅美が



「美里さんと離れたくないんでしょ?もう!ほんとラブラブなんだから。」



とからかってきた。



「じゃあ、着替えに行ってくるよ…。」



と名残惜しげに、その場を立ち去る。