ミラー!(648)ゆっくりと・・・
披露宴の次の日、昼すぎまでゆっくり休む。夏季休暇いっぱいまで白馬に滞在予定。忙しい僕の親たちは、午前中に東京へ戻って行った。富田君と陽菜が、子供たちを預かるからゆっくりしてたらいいよと、二人きりにさせてくれた。富田君の実家はここ白馬。里帰りも兼ねているから、今頃、実家でのんびりしているんだろう。僕らは朝は食べずにランチ。ランチを食べた後、ホテルの周りを散歩した。
「美里、疲れたんじゃない?大丈夫?体。」
「うん。ほんと何もないわよ。ここの空気吸ったら元気になるんだもの…。」
「じゃ、もう少しゆっくりしたら、病院行こうね。ちゃんと診察してもらって、東京の病院へ通わないと…。事務所にも報告しておかないとね。まだ引退するかもめてるんでしょ?僕としては別に休養扱いでもいいと思うんだけどね…。」
と、美里の肩に手を置いて引き寄せる。美里は僕の顔をじっと見ると微笑んだ。
午後の診察時間に、産婦人科へ。もともとここは未来がおなかにいた時に受診していたところなので、名前だけは知っている。この病院から僕が研修していた病院へ転院してきたんだから。
受付を済ませて、待合室へ。周りの視線が気になるけれど、別のこそこそする必要はない。もうちゃんと結婚しているし、いつ妊娠してもおかしくないしね。美里は、妊娠確定だったら女の子がいいななんていいながら待っている。
確定だったら、4人の子持ち。まあ、子供は好きだから苦じゃないけど、僕は単身赴任だから、美里に負担がかかるんじゃないかな・・・と思ってしまう。できる限り近くに住めるように希望を出そうと思っているしね。順番が来て一緒に診察室へ。問診のあと、美里は内診。僕はじっと待っていた。
ま、僕自身医者。特に僕は超音波を診るのが得意だ。でも専門が違うけどね。でも一応かじったことあるけど…。色々考えながら内診が終了するのを待つ。内診が終了し、戻ってくる美里。そして先生の診察結果。
「おめでたですよ。」
と、女医さんがまず声をかけた。そして超音波の画像。診た感じ、週数よりちょっと大きめだけど、ちゃんと見えている。まだまだ赤ちゃんの形には程遠いけどね。予定日は4月初め。先生に東京の病院への診断書を書いてもらう。美里はやはり、未来のことがあるからちょっと心配みたいだ。
「先生…。この子も未来みたいに心臓に何かあるかもしれませんか?」
「う…ん。まあねえ…。」
あ、これは僕の専門なんだけど…。
「あのね、美里。大丈夫だから。未来の病気は遺伝じゃないし…。成長段階で欠陥があっただけで…。しいて言えばアレルギーくらいかと思うよ。ま、何かあったらこの僕が診るし…。僕の専門だし…。」
「あ、そういえばそうだったね…春希さん。」
何かあればこの僕が相談乗れるんだし。安心だよね。未来の主治医の一人がこの僕だし。安心安心。
診察を済ませ宿泊先へ戻る。一応美里は事務所へ報告。また引退か休養かでもめそうな気配…。休養でいいんじゃない?って思うんだけど…。ま、今はせっかくの休暇中。ゆっくりしようよ…美里。