ミラー! (645)娘
急いで次の衣装へ着替える。リュヌの淡い色のタキシード。もちろん父さんは満足げで、自ら写メを撮っている。
「制服もいいけど、やはりその格好のほうがいいよ、春希。」
「まあね。とてもいいデザインだと思うよ。ちょっと恥ずかしいけど…。」
「何いってるんだ。もとがいいんだから、恥ずかしがることない。やはりお前の母、優希に見せたかったよな…。」
と、涙ぐむ。
時間が来て、ホテルの写真室へ。そこで恥ずかしいようなポーズを何度も…。美里は撮影に慣れているからいいけど、この僕は本当に照れてしまって、たぶん変に写っていることだろう…。
「はい、お疲れ様です!」
と、撮影終了。気がつくとお昼になっている。
美里は控室で軽くランチ。僕は着替えて、また制服に。夏1種のジャケットを撮った状態で、家族とともにランチ。子供たちはまだ着替えていなかったけれど、いつもと違った緊張で、食が進まないみたいだ。
「どうしてパパ、制服なの?」
「ん…。ちょっとね。」
「変なの…。」
と優希が僕を眺める。
「ママがいないと、さみしいね…パパ。」
と、美紅と未来が話す。
「しょうがないよ。ママはドレス姿だからね。着替えるの大変でしょ?」
と、いってみる。残念そうな子供たち。あとで会えるよと言って何とか落ち着かせる。
食事を終えると子供たちのことは、富田君や陽菜に任せた。美紅は美里がデザインしたかわいいドレス。それに合わせて我が家の息子たちもかわいらしいタキシード。美紅はとても気に入ってしまって、今日までに何度も試着して踊って見せたんだよね。
「パパ。美紅ね。大きくなったらママみたいな花嫁さんになりたいな。それでね、パパみたいな人と結婚するの。」
美紅は大好きなケーキを食べながら、にこにこ笑って話す。そうだよね、いずれ美紅もお嫁に行っちゃうんだよね。そう思うとやはりさみしくなってしまう。