ミラー! (631)納涼祭 | 超自己満足的自己表現

ミラー! (631)納涼祭

 暑い夏真っ盛り…。週末を利用して、信州へ行ったり来たり。それはお盆に予定している身内のみでの結婚式の打ち合わせ。美里のおばあちゃんや、実家の親戚向けのもの。ほんとごく身内で行う。



ま、その前に、僕がいる駐屯地の恒例行事がある。夏休みに入っている子供たち(優希は夏季講習があってこないけど…。)は、僕のところへやってきている。毎年恒例の納涼祭が終われば、僕は夏季休暇へ入る。しかし幹部である僕はほとんど関係ない。教育中の新隊員とか、若い隊員がメインで動いている。



ただ、うちの衛生隊は隊長夫人の意向で、幹部夫人たちが若い隊員たちにいろいろ振舞うみたいだ。もちろん中隊長である僕。その嫁である美里もお手伝い。お茶やジュース。お菓子をたくさん若い子たちに振舞っている。ほんとうちの衛生隊は団結力がいい。盆踊りコンテストでも上位入賞している。雅美のいる駐屯地とも合同だから、雅美も顔を出している。そして春斗も玲奈ちゃんと。


「春希おじタン!」


と僕の姿を見るなり走ってくる玲奈ちゃん。一応一時希玲奈ちゃんの主治医をしていたし、大好きなパパに似ているからかな?


「元気だった?玲奈ちゃん。未来と美紅来ているよ。」
「どこどこ???未来タンどこ?」


ほんと未来が好きな玲奈ちゃん。美里のそばにいた未来の姿を見つけると雅美の手を振り切って走って行った。


「ほんと玲奈ちゃんって未来が好きなんだね。」
「ほんま。人見知り激しいんやけどな…。未来は別みたいやな。」


と、春斗が微笑む。ドッペルベンガーのごとく、同じ顔が並んでいるからか、若い隊員たちが不思議そうな顔をしている。もちろん紹介しておこう。一応春斗は次の選挙へ出る予定だし…。



「あ、紹介する。僕の兄貴。一卵性ミラーツインの兄貴。元航空医官で内科医。今はね、国会議員の私設秘書しているんだ。病院の弐條医官の旦那。」


春斗は人懐っこい表情であいさつ。ほんと声も同じだし…。イントネーションは違うか。
すると後ろで声。


「遠藤君!雅美、春斗君!」


この声はもしかして…。そう…駐屯地の裏に住んでいる元統幕長の大叔父さん。お祭り好きだもんな…。ぱっと見、元統幕長には見えないけど。


「大叔父さん。来られていたんですか?」
「ああ、近所だし、雅美も玲奈も来ているしね。さっきまで後輩であるここの総監と話していたんだよ。」


大叔父さんと話していたら、近くにいた幹部クラスが寄ってきて列を作る。もちろん大叔父さんの身分を知っている。


「ご無沙汰しております。源元陸将。」


と、みな敬礼をしたあと握手を求めてくる。さすがに大叔父さんは苦笑…。


「あの…中隊長…。」


と、僕の部下である陸士が声をかけてきた。


「あの方って…?」
「知らない?元ここの総監で、前陸幕、前統幕長の源雅斗元陸将だよ。弐條雅美1尉のお父上だよ。ほんとお祭り好きな人でね…。」
「ええええ!!!元統幕長殿ですか???」
「見えないでしょ?ほんといい人だから。」


みんなその話を聞いて驚く。



ほんと大叔父さんは僕の尊敬する人の一人。厳しいけれど、とてもいい人。みんなに慕われている人なんだよね。