ミラー! (627)子供の夢 | 超自己満足的自己表現

ミラー! (627)子供の夢

 朝、いつの間にかリビングでごろ寝をしていた僕たち。子供たちと美里は呆れた様子で、朝ご飯を作っていた。もちろん雅美も手伝っている。のんびり寝ていたのは男たちだけ。雅美と美里が作った味噌汁の匂いで目覚めたに近い。


「春斗、遠藤、お兄ちゃん、雅哉!もう起きたらどう?お酒の匂いぷんぷんさせたままじゃ、出席できないでしょ?」


と、いつもの雅美の口調で僕たちをせかす。



美里が僕らの為にお風呂を沸かしてくれた。男4人ではちょっと狭いけど、でも広めのお風呂だから、4人で入ることになり、優希と未来がいろいろタオルやらを持ってきてくれた。医官の僕と違って、やはりお兄さんや弟さんは鍛えてるって感じ。特にお兄さんは現役のパイロット。さすがにいい筋肉…。男の僕でも惚れ惚れする。これが40歳だなんて…。さすがだ。ま、体質的に、僕は鍛えても筋肉がつきにくい。ほんとヒョロヒョロ…。太りにくい体質であるからさらにね…。なんかうらやましい…。


「パパ達、ここに着替え置いておくね。」


と優希と未来が声をかける。はあい、ありがとうと男4人で返事。和やかな感じ。そういや昔、お兄さんと春斗って仲が悪かったよね。お兄さんが結婚して子供ができてからなんか丸くなって仲が良くなったような気がする。


 お風呂を出て、即朝食。雅美も美里も、料理がうまいから、何食べてもおいしくて、自衛官である僕含め、お兄さんや弟さんはがつがつ一気に食べてしまう。自衛官をやめてから、ゆっくりとよく味わって食べるようになった春斗をのぞいてね。僕もわかっているけど、単身赴任中隊員食堂のお世話になっているからか、癖になってがつがつ一気に食べてしまうんだよね。美里に作り甲斐がない、ちゃんと味わって食べてよって怒られたことがあるけどね。できるだけゆっくり食べるようにはしているけれど、普段の癖ってほんと怖いよね。


「雅治おじさんって、パイロットなんだよね?戦闘機の。」


と、優希が声をかける。


「うんそうだよ。優希君、飛行機好きか?」
「うん。大好きだよ。昔住んでた宝塚の官舎の上を、B777とかがよく飛んで行ったしね。亡くなった源の曾お爺ちゃんは民間機のパイロットだったって聞いたし…。大きくなったらパイロットになりたいなあって。でもねえ…。」


と黙り込む優希…その後はきっと…政治家にならないといけないんだよね…だろう。


「ま、パイロットって大変だけど、好きなら目指してみたらいいよ。もし、松島へ来る機会があれば、おいで。操縦席ぐらいは座らせてあげるよ。夢を持つっていいことだと思うよ。優希君は頭がいいんだから、あとは体力だ。がんばれよ。」


と頭をなでるお兄さん。ちょっと複雑な顔をしている優希。でもパイロットになりたいのであればなってもいいと思うんだけどな…。この僕だって、子供のころからの夢だった医者になったし…。まあ政界へ行かないといけないのはわかっているんだけど…。でもねえ…。


「未来はねえ、パパみたいに、自衛隊のお医者さんになりたいな。だってパパの制服かっこいいもん。僕はお医者さんになりたいんだ。」
「美紅はケーキ屋さんがいいな。それか、美里ママみたいになりたいな。」


と、僕の子供たちは自分の夢を語り出した。子供たちの夢を聞き、なごむ大人たち。一人ひとりの夢がかなうといいね。それがこの僕の願いだ。