ミラー! (624)妊婦様 | 超自己満足的自己表現

ミラー! (624)妊婦様

 6月。梅雨が始まる前。昼休みに雅美が面会へやってくる。少し大きくなったおなか。あと半年で生まれてくるらしいしね。予定日は雅美と同じ12月1日。予定日通りには生まれないとは思うけど。



玲奈ちゃんの時はぎりぎりまで産休を取らないでいたから、早産になった雅美。9月には産休を取って、ゆっくり妊婦ライフをエンジョイするらしい。そろそろ性別がわかるんじゃないかな?と気になっていた。


「何?わざわざこの僕とお弁当食べるために面会へ来たわけ?僕は食堂だよ。」
「ちゃんと遠藤の分もお弁当作ってきているわよ。」


とにこにこ顔でこの僕にお弁当を手渡す。もちろん雅美の料理はうまいのはわかっている。幹部室の隣の席を借りて、二人でお弁当を食べる。ほんとにこにこ顔の雅美。お弁当を食べ終わったころ、雅美があるものを取り出した。それは超音波の画像。


「遠藤。超音波の診断ぐらいできるわよねえ?」
「もちろんだよ。これでも僕は小児科で心臓担当だよ。いつもにらめっこしているけど?」
「じゃあ、今朝撮ったやつ診断してみて。動画じゃないのが残念だけど。」


もちろん手に取ってじっくりと見てみる。診た感じ異常は見当たらない。心臓の大きさとかも標準かな?あと…。にこにこしている原因がわかった。


「雅美、この子男の子でしょ?ちゃんと写っているし、骨格からしてそうだね。顔なんか春斗に似てんじゃない?」
「えへへ…正解。男の子だよね?本当に異常ないよね?」
「うん。染色体とかの検査もしたんでしょ?生まれるまで楽しみだね。春斗もうれしいんじゃない?特にお祖母ちゃんなんか、長男誕生って聞いたら…。」


にこにこしながらカバンからデザートまで取り出した雅美。まだ何かありそう?


「あのね、お願いがあるんだ。夕方付き合ってよ。」
「へ?」
「知ってるよね?来月うちのお父さん退官してこっちへ帰ってくるって。」
「統幕長?そういやそうだね。今度は空の幕僚長だってね。統幕長。」
「でね、実家今建て替えてるんだけど、もう完成だから見に行こうかと思って。みてくれるよね?」
「別にかまわないけど…。春斗は?…あ、忙しいのか…。」
「うん。お母さんがね、カーテンとか家具とか任せるっていうから。家電一式新調よ。だから、家見た後、電気屋さん連れて行ってよ。」


はいはい…。この僕は足ですか?妊婦様だからしょうがないか…。なんだかんだいってこの僕は雅美のいいなりだしな。医学生時代から…。