ミラー!(620)ブランドムック本 | 超自己満足的自己表現

ミラー!(620)ブランドムック本

 ここは表参道にある父さんの会社。父さんが経営しているブランドの本社と言うべきか。最近妹の春陽が、日本へ帰ってきた。もちろんそれは父さんの会社を本格的に継ぐためで…。



父さんに3兄弟の子供がいるけれど、長男春斗は弐條家の人間、次男であるこの僕は遠藤家へ養子へ行ったし。あと残ったのは長女の春陽のみ。ま、春陽は経営に関して父さんに似ていてとても才能がある。で、旦那はデザイナー。それでいいんじゃないかな?



春陽の息子たちもフランスで英才教育をして、帰国子女として、優希と同じ小学校へ編入した。優希よりも一つ年上の長男。さすがに頭がいい。有名小学校のトップクラスも受かったみたいだけど、自宅から近いところを選んだ。春陽は父さんに似て、茶色の髪と青い目をしているからか、子供たちもちょっと日本人離れをしている。エキゾチックな感じがとてもいい感じで、優希に言わせると登校初日から女の子たちが寄ってきたみたいだ。クラスの女の子たちに、本当にいとこなの?って突っ込まれたらしいよ。優希は僕に似たロシアンブルーの猫の色の瞳以外は、ほんと日本人。亡くなった弐條のお爺ちゃん似だからね。僕だって、体型は日本人離れしているといわれるけれど、顔はお爺ちゃんに似ているし、目が違うくらいかな。本当に弐條家(というか源家?)の顔つきのこの僕。ということは春斗もそうだよね。


 会社のスタジオで、兄弟が集まる。なんで僕だけ配偶者がいるんだろ?美里がジャパンビューティーと言われた女優だから?



色々打ち合わせをしていると、流れがつかめてきた。今流行りのブランドムック本というものらしい。一つのブランドのみの雑誌で売り切って終わり。で、今回がリュヌってこと?



社長のページに掲載される家族写真らしいね。みんなそれぞれ用意されたリュヌの服きて、専属のヘアメイクさんがメイクなどを施した。父さんなんて、どう見ても60代に見えない。若々しい10歳は若く見える。身長は170ないけれど、でも手足は長いから低く見えない。ただ180センチの息子と一緒に並ぶとよくわかる。春陽も父さんの身長を超えちゃったし。元モデルの春陽ももちろん二人の子持ちに見えない。でもって、美里の憧れの元先輩。春陽ももちろんスタイルがいいけれど、美里のほうがいいに決まっている。完璧なモデル体型。パリコレなどといったもののモデルもこなせる体型らしいけれどね。


「父さん、なんで僕だけ配偶者付?」
「まあ、まあ、春希。美里さんはうちの専属モデルだし、春斗の奥さんは一般人。春陽の旦那は仕事だからね。今イタリアにいる。しょうがない…売れっ子だからね。」


はいはい・・・。父さんは美里をべた惚れしているし、とてもかわいがっている。母さん以外にここまで女性を大切にするって初めてじゃないかな?といっても好きとかそういうのではなく、義理の娘としてだよ。母さんも理想だったらしいけれど、美里は完ぺき父さんの理想女性らしい。父さんがまずこの僕を褒めるのはそこんところ。いい女性を伴侶に選んだねえとか言っちゃって。じゃ、優奈はどうなんだ。なくなった優奈と僕は恋愛結婚だけど、でも政略結婚でもあったんだよね。養父の後援会会長の孫娘。そして東京後援会会長の娘。まあもうそれはいいんだけどね。


 撮影が始まる。中央に父さんが椅子へ腰かけて、僕らが背後に並ぶって感じかな。やはり長男の春斗が中央。でも両隣りに僕夫婦と春陽。ポラロイドをみると、やはり父さんはかっこいい。そして春斗もかっこいい。微妙に顔が引きつっているこの僕。満面の女優スマイルの美里。春陽もやはり元モデル。なんだか僕だけ浮いている。ちゃんとリュヌの服を着ているのに似合ってない…。はあ…やになっちゃうよ。