ミラー! (618)妻のやりたいこと | 超自己満足的自己表現

ミラー! (618)妻のやりたいこと

 時間があれば美里へ電話をする毎日。徐々にだけど精神的に回復してきたみたいだ。暇なので、毎日のように携帯でミクシイの日記を更新している。もちろん寝込んでいるなんてだれも思っていないだろう。毎日子供との楽しい日々をつづっている。もちろん僕が毎日電話をかけてくれるという惚気までね。


「今日ね、美濃のお父さんがお見舞いに来られてね、色々話していたの。」
「え?父さんが?」
「ええ。私たちの結婚指輪。問い合わせが多いらしくて、発売を検討しているんだって。」
「ふーん。美里もデザイン手伝ったんだもんね。うれしいでしょ?」
「うん。それでね、横になっているときにずっと絵を描いていたの。」
「え?美里って絵が描けるんだっけ?」
「ま、ちょっとね。でね、暇だから、夏に白馬で結婚式するでしょ?その時の子供たちの服を考えてたの。でね、それを見たお父さんが、とても褒めてくださったのよ。特に美紅ちゃんに着せたいドレス。とてもかわいいって…。」
「へえ、父さんってなかなか褒めない人だよ。本当に気に入ったんだろうね。」
「でね、そのデザイン画を持って帰ってしまわれたの。」


っていう美里。



本当に父さんは、本当に褒めない人。デザインや経営に関してとてもうるさいからね。厳しいから、リュヌがここまで大きくなったし、不況の世の中でも一流を誇っている。



特に父さんは、美里がお気に入り。一番好きなのは母さんだけど、2番目は美里じゃないかな?と思うくらい気に入っている。だからってデザインに関しては褒めたりはしないんだろうけどね。


「あのね、私、ずっと夢があるの。」
「え?夢?」
「私はこうしてタレントをしているけれど、本当はデザイン関係の仕事をしたかったの。小さいころからずっといっぱい絵をかいて、東京に出てからもファッションに関していっぱい勉強して…今の私があるのかもしれない。結婚指輪のデザインに関われたことはとても新鮮だったし楽しかったの。だから家庭へ入っても、ファッション関係の仕事ができたらいいなあ…なんて思っているの。ダメ?」


なんか初めて美里の将来について聞けたような気がする。もちろん前々から家庭にじっとしているタイプではないと思っていた。だからこのまま引退しちゃってもいいのかなあ…なんて思ったりした。家庭を守りつつ、美里の好きなことができることってないかなあ…ってずっと考えてた。才能があるのであれば、伸ばせてやれないかなあって思う。彼女は、僕の妻であり、子供たちのお母さんであるけれど、一人の女性だ。彼女の個性を尊重してあげられないかなあと思う。甘いかな?僕って…。


 後日、美里がデザインした美紅の服が仕上がってきた。もちろん美紅は大喜びで、夏に行われる結婚式を心待ちにしている。美紅はとても美里の事が好きになったみたいだ。本当の親子のように仲が良くなったのは言うまでもない。