ミラー! (604)夫故に…
病院でシップと痛み止めを処方してもらう。たいしたことないから日にち薬。シップはって、腰を固定するくらい。医師がこんなことでねえ…プライドが…。さあ仕事仕事と、昼休み前に職場へ戻ってきた。お弁当を食べて、残っている仕事をこなしていく。僕は肩書がいいほうだから、衛生隊の机は奥のほうで隊長の近く。
「結婚早々災難だね…。」
「ほんとにそうです…。最近怠けていたので…。腰がよくなれば体力作りしないと…。」
「子供相手は体力いるでしょう…。」
「ええ。だから変にひねったみたいです。インフルエンザの簡易検査で結構変なところで力が入ったもので…。」
たぶん腰に違和感が出たのはそれだろうと思う。暴れる子供を看護師とともに抑えて検査したこともあったし…。簡易検査はほんと嫌だもんね。綿棒を鼻の奥へ突っ込むのだから…怖いよね。
数日後何とか自転車通勤できるようになったので、自衛隊病院帰り、雅美に紹介された整骨院へよってみる。制服のままだけど大丈夫かなあ…。
受付を済ませ、順番を待つ。こういうところはやはり高齢者が多い。僕は制服姿なのでじろじろ見られるし、やはりいろいろ話しかけられる。地域的には珍しくないけど自衛官だし…。立花真里菜の旦那だって言うのはばれてないみたい。お爺さんなんて、僕の階級見て色々戦前の武勇伝も話すんだよね。
「若いのに、佐官か?士官学校出か?」
「防衛医科大学校です…。」
「医官かい?わしも昔、衛生兵として戦場を駆けたものだ。まだ入りたての下っ端だったが…。」
いろんな昔話を聞いているときに名前を呼ばれる。かばん、ジャケット、制帽、ネクタイをかごに入れ預ける。そして問診。経緯を話す…もちろんなんか専門用語を出してしまう。先生も同じように専門用語づくし…。痛いところを冷やされて、鍼をしてもらう。初めてだけど、なんか気持ちよくて、うとうと…。当分通ってくださいと言われ、シップを出される。そして耳元で…
「立花真里菜さんのご主人さん?」
と…。ばれてるよ…。僕は苦笑しながら、ネクタイを締め、ジャケットを着る。はあ…ここまで顔が知られると、自由がないよね…。有名女優の旦那ってこんなものか?