ミラー! (597)やっと二人で…
結婚披露パーティーもお開き。ある程度控室で着替えを済ませ、車へ乗り込む。やっと脱いだ制服。むちゃくちゃ肩がこった。美里もずっとドレスだったし…。でもさすが女優。疲れた表情は見せていない。
ホテルへ着くまで、二人ぎゅっと手を握ってにこにこ。ホテルへ着くと、ホテルがお祝いにとラウンジへ招待を受ける。窓際の神戸の夜景がよく見えるところへ案内され、簡単なお祝いのデイナー。2次会で食べたからちょうどいい量。僕は飲めないからノンアルコールカクテルを頼む。美里は美里の為にバーテンダーからプレゼントされたカクテル。食後はお祝いの花束とケーキ。ケーキに目がないこの僕はおなか一杯なのに食べちゃったよ。
「ほんと春希さんらしいね。甘いものは別腹…。」
「そうだね。父さんに似たんだよ。甘いものは底なしだから。」
すると美里はそっと僕の肩に体を預ける。僕はそっと彼女の手を握る。
「春希さん、とても素敵な結婚式をありがとう…。7年前には考えられなかったな…。あの時は奥様がいたんだもんね。あなたに対する恋は叶えられないとあきらめてたけど…。こんな日を迎えることができるなんて…夢じゃないよね?」
「んん…夢じゃないよ。僕だって…こんな日が来るなんて思わなかった。絶対好きにならないと思っていた立花真里菜とね…。ここまで来るのにいろいろあったけど…。」
「絶対私…春希さんを離さないから…。春希さんも離れたらだめよ。浮気なんてしちゃいやよ。私を怒らせたら怖いんだから。前の奥さんの比じゃないわ。芯は強いんだから。」
「わかってるよ。芯が強くなければ、未来はいないよね。そしてここまで育てることなんてできないよね。僕は君に捨てられないように頑張るよ。僕は君にはもったいない。僕はそこまでいい男じゃないし…。しっかりしているように見えて詰めが甘いし、時々ぼーっとしていて…。」
すると美里がほほ笑む。
「そういうところがいいのよ。母性本能をくすぐるというか…。完璧そうに見えてそうじゃないところが好き。ファッションセンスは私がなんとかするわ。」
「そこ、突っ込まないでくれる?気にしているんだよね…。」
お互い見つめあって笑う。
いつまでもこういう関係でいたいな。お互い言いたいこと言って、笑いあって、見つめあって、支えあって…。仕事柄、家を空けるけど、よろしくお願いします。美里…。