ミラー! (596)自衛官の妻として | 超自己満足的自己表現

ミラー! (596)自衛官の妻として

 一通りあいさつ回りを終え、お店からのプレゼントの大きなケーキへ入刀。そしてお決まりのように、美里からこの僕へ一口ケーキを食べさせてもらう。甘いもの好きの僕にとってうれしいことで、おいしいケーキに満足しているところへ、悪乗りしている僕の部下が、こんなことを言い出した。


「中隊長!キスお願いします!新婦へのお礼のキスですよ!もちろんアッツイキスをしてください!」


え~!!って思う僕。でもあいさつ回りに飲まされたビールの酔いがあったから?あとこういう席だしねえ…。口の周りについたクリームを紙ナフキンで拭こうとしていた美里の手をぎゅっと握って、僕はお礼のキスを…。もちろんちょっとチュッじゃなくて…。あとから考えると恥ずかしいんだけど…。結構デイープキスをした。



もちろん人前でキスなんて形式上以外ではしないこの僕に驚く美里。顔を真っ赤にしてたよ。会場は大盛り上がり。仕事上では生真面目で通っている。休憩中でも真面目な話くらいしかしないしねえ…。そんな人柄だと思われてたし。お酒が入ると人格が変わるんだ。でも昔と比べては…ましになったかな?


 ウエデイングケーキを雅美がとりわけ、取り分けたケーキを僕と美里が一人一人配っていく。受け取る際に一人一人改めてお祝いの言葉を述べていくんだよね。そして、僕の所属する衛生隊隊長の番が来てこう言った。


「遠藤君、奥さんは当分こっちにいるの?」
「ええ、桜フェスタまではこちらにいます。彼女の息子と一緒に。僕の子供たちは学校と幼稚園がありますから。」
「そうか、じゃあ、家内が昼間お邪魔するかもしれないよ。ご近所だしね。いいですか?奥さん。」


そうそう、隊長の家と、僕の家は目と鼻の先。同じ敷地内のアパートの別棟。徒歩1分圏内だったりする。転属後は何かとお世話になった。いい奥さんだよ。悪い人じゃない。美里にはいい奥さん仲間になると思うよ。衛生隊の奥さん仲間のリーダー的存在だけど、だからと言って裏表のない人だし、人の悪いことは一切言わない人。だから旦那さんは出世しているのかな?美里は困った顔をして僕の顔を見る。


「大丈夫だよ。隊長の奥さんは、プライベートをあまり詮索しない人だし、面倒見のいい人だよ。何かと助けてもらえるから、仲良くしたらいいよ。ほかの奥さんとの橋渡しもしてもらえる。自衛官の妻としてのノウハウも教えてもらうといいよ。そうだな…統幕長の奥さんみたいな人だよ。だから安心して家に来てもらったらいい。いい相談相手になっていただけるよ。」


美里は頷き、隊長に良い返事をする。奥さん同士仲良くするのはいいことだし、官舎にいるのとは違って、悪い噂は聞かないし、衛生隊の奥さん連中とだけ仲良くしてたらいいと思うよ。仲良くしてもらったほうがこの僕も助かるしね。