ミラー! (590)かわいい患者さんたち
挙式披露宴が終わり、下船。そして船の前で短い時間だけど、招待客たちとの記念撮影とか、会話の時間を楽しんだ。ギャラリーたちも、みんな遠くからだけど撮影しているんだよね。時間が来て、引き上げようとしたときに、頭上で声がする。
「遠藤春希先生!!!」
とね。よく見ると僕の自衛隊病院の患者さんたち家族。子供たちは一人ひとり花束を持って待っていた。もちろんみんな僕の可愛い患者さんたち。こっちへおいでって言って呼ぶ。
「美里、みんな僕の可愛い患者さんたちだよ。自衛隊病院のね。ちょっと時間いいよね?」
「ええ。」
そう、みんな病院横の官舎の団地に住んでいる人たち。たぶん声をかけて集めたんだろうね。少し経つと、子供たちが家族とともに現れる。子供だけでも10人くらいいる。
「春希先生!結婚おめでとう!」
と言って僕と美里に花束を一人ずつ渡す。中には似顔絵のプレゼントだったり…。僕は一人ずつ頭をなでて、ちょうど残っていた招待客へ配るかわいい包みのお菓子を配った。
「そうだ、みんなで記念撮影してはいかがかな?」
と、仲人の大叔父さんが声をかけた。ついてきていた子供たちのお父さんたちは直立不動!だって、元所属方面隊の総監であり、そして統合幕僚長。
「春斗君、写真を撮って差し上げなさい。せっかくここまで足を運んだのだから。」
「はい、そうですね。お義父さん。さ、みんな並んで。春希も美里さんも。」
と、春斗が楽しそうに子供たちを集め、写真を撮影する。
「ほらほら、保護者の方々も、どうぞ。せっかくですからね。」
とほんと大人数での撮影。
「はい、完了!お疲れ様でした!また春希を通して写真を配りますから、安心ください。」
と言って春斗は微笑む。僕もかわいい患者さんたちを集めて再び一人ひとり声をかけた。そして時間だからと手を振り見送る。
「ほんとかわいい患者さんたちね。」
「だろ?4月になれば担当が外れるのが残念だけどね…。昨日は民間病院の子たちがさ、色々プレゼントをくれたんだよ。」
「春希さんは、優秀なだけじゃなく、子供が大好きだからね…。だから好かれるのね。」
と、美里が僕を見つめて微笑んだ。