ミラー! (587)乗船前… | 超自己満足的自己表現

ミラー! (587)乗船前…

 待ちに待った時間がやってきた。僕は忘れ物がないか確かめて、手に持っていた白手袋をはめる。制帽やら何やらが歪んでないか、大叔母さんに確かめてもらう。



「大丈夫。完璧よ。ね?お父さん。」

「ああ、よく似合っているよ。春希君。」



と微笑む仲人の大叔父さん夫婦。そして大叔母さんが僕の胸に美里と同じ花を使った花飾りをつけてくれた。そして遠藤家で記念撮影。2度目の結婚式だけど、ほんとうれしそうなお父さんとお母さん。そして父さん。父さんの胸元には死んだ母さんの写真が入れてある。



「ほら、時間やで。いこか、春希。」



と春斗が声をかけてくれた。僕は緊張感をほぐすために、気合を入れる。



 結婚式が行われる船が係留されている波止場に出る。まだ美里は出てきていないけれど、招待客に取り囲まれたのは言うまでもなく、美里が現れるまで記念撮影の嵐。前職の上司やら、今の職場の上司、そして部下たちにも取り囲まれる。やはり美里の招待客にはみんなオーラがある。芸能関係者ばかりだからね。京都の撮影所でお世話になった、スタッフに俳優さん。そして事務所の後輩グラドル。そっちに目がいく若い部下たちが多いのも確か。



「中隊長!奥さんの後輩方と知り合ってもよろしいですか?」



などと声をかけられる。



「ま、たぶん大丈夫じゃないかな?言っておくけど、今日は合コンじゃないからね。自衛官らしくいて欲しい。」



と言って僕は部下に笑った。



その時かな、みんなの視線が、変わったのは。招待客そして陣取っていた一般ギャラリーが、ざわついた。そう、今日の主役である美里の登場。スタッフに誘導されてやってきた。やはりむちゃくちゃ綺麗。先月行われたリュヌのウエデイングショーで来たマーメイドタイプの白のウエデイングドレス。最高級のアクセサリーにティアラ。もちろんこの日の為に少しアレンジしてある。今日はこの僕が完ぺきにエスコートしないとね。美里と目が合い、美里と僕の顔は一気に赤くなる。僕は照れ隠しの為に制帽を深々とかぶり、美里をエスコートして乗船前に行われる、記念撮影へ。


船の前で二人で撮影した後、親族みんな揃っての記念撮影。

真ん中に僕と美里。僕の横には仲人の統幕長である大叔父さん、美里の横には、お叔母さん。僕の後ろには春斗に怜奈ちゃんや制服姿の雅美、源雅治2等空佐、源雅哉1等海尉が並んでいる。もちろん僕の養父母、実父、子供たちは最前列。遠藤家はやはりすごい面々だ…。


乗船前、正装した船長が、こちらへあいさつへやってくる。そういや海自の制服に似ているんだよね。でもちょっと違うけど…。雅美の弟さんと船長が並ぶと違いがわかる。ま、それはいいとして…さて乗船乗船。



まずは先に、この僕が美里をエスコートして、乗船。一同乗船が完了すると、次は人前式の挙式準備に取り掛かるのだ。