ミラー! (586)いよいよ・・・当日
僕と美里の待ちに待った挙式当日。
朝早く起き、ルームサービスで朝食を済ます。美里は、朝食の後、身支度をし、ホテルの美容室へ向かった。僕はというと朝一番に散髪の予約が入っている。なかなか忙しくて散髪してないしね。自衛官らしくきれいさっぱり切ってもらう。といってもスポーツ刈りとかそういうのではない。でもサイドと後ろは短めだよね。ちょっと寒いかも…。風邪引かないかな?(笑)顔や眉もきれいに剃って整えてもらう。ほんと僕って男前だよねって思ってしまう。というか春斗そのものだよね。
散髪を済ますと、部屋へ戻り、着替える。箱の中から礼装用の階級章を取り出し、肩へ取り付ける。特別な許可を得て飾り尾をつける。普通はつけないんだけど、結婚式だからと、まあ言う外国要人と会う時に着用するスタイル。
トントン
とドアが鳴る。お父さんたちが来たのかな?
「春希、準備できたか?」
やはりそう。僕の養父母だった。お父さんはモーニングで、お母さんは黒留袖。きちんとした格好で部屋の前で待ち構えていた。僕は忘れ物がないか確認して部屋を出る。そして遠藤家の控室へ。もうすでに仲人である大叔父さんもやってきている。もちろん礼装を着ている大叔父さん。統合幕僚長たる陸将だからね。僕の礼装よりも立派だ。そして負けないくらい、素敵な着物を着ている奥さん。
「ま、春希君、ネクタイ歪んでいるわよ。」
と、ささっとネクタイやら階級章、職種章、部隊章まで整えてくれた。さすがだね。ほんと完ぺきに仕上がったこの僕に、一同は感嘆。春斗が、子供たちを連れてきてくれて、子供たちもいつもと違う制服姿にとてもびっくりしている。そして後ろには玲奈ちゃんとともに立っている雅美。雅美は一昨日付で、同じ自衛隊病院の産婦人科医として転属してきた。
「はるきおじたん、かっこいいね。」
と玲奈ちゃんがニコニコ笑う。雅美がこっちへ転属して急に表情が良くなったよね。やはり一緒にいないといけないのだろうね。そしてさらに後ろには、雅美のお兄さんと弟。みんな自衛官である親戚は第1種礼装を身につけている。雅美のお兄さんの奥さんも招待したんだけど、来月二人目が生まれるってことで、京都の実家にいる。弟さんの奥さんも小さい子供がいるからと、横須賀でお留守番。親戚一同が揃って、話が弾む。