ミラー! (585)愛しい君への想い…
ついにやってきた。挙式前日はいつもの民間病院勤務。夕方、早めにあがらせてもらって、自宅へ戻る。そして結婚式の為にきちんとクリーニングへ出し準備万端の礼装を取り出し、荷物を持って神戸へ前入り。
当日は早い。僕は男だから、そんなに早くはないんだけどね。もちろん僕の子供たちも、美里とともに、飛行機で前入りしている。そして子どもたちは芦屋のおばあちゃんちにお泊まり。今日は、会場近くのホテルで美里と久しぶりの二人きりの夜。といっても、美里の朝は早いから、ゆっくりなんてしないよ。
「いよいよだね、美里。」
「ええ。緊張して眠れない。」
「寝ないとお肌に悪いよ。美里が主役なんだから。」
「んん・・・・。ほんとこんな日が来るなんて思わなかった…。」
「え?」
だってそうだよね。美里が若いころ、東京へ出てきてすぐ、
この僕に一目ぼれして、
ずっと思っていて、
再会した時には僕には妻子がいて、
でも忘れられなくて赤坂の夜。
彼女の思惑通りに未来ができ、それで満足と思って過ごしていたら、
この僕が現れてプロポーズして…。
一時もめたこともあったけど、やっとここまで来た。この僕との結婚が決まってから、美里はほんと劇的にイメージが変わった。僕好みの素敵な女性になった。昔は彼女のチャラチャラした芸風が嫌いでしょうがなかったけれど、あれは本当の姿ではなくて・・・・。
気がつくと横で美里はすやすやと眠っていた。僕は眠くなるまで美里の顔を眺めて昔のことを思い出す。
大嫌いだった君から最愛の人となった君への思い出を振り返りながらね…。