ミラー! (583)あれから1年… | 超自己満足的自己表現

ミラー! (583)あれから1年…

 結婚式が行われる1週間前、亡き妻の墓がある石川へやってきた。それは亡き妻の1周忌法要が行われるからね。本当に優奈が亡くなって1年。早いもの。あっという間だった。


この1年のうちに、新しい妻が見つかり、3佐に昇任した。そして今まで隠していた未来の戸籍には、この僕の名前が記載された。未来と子供たちは仲良くしてくれているので助かった。


喪服を着こんで、雪が積もる中、菩提寺での法要。遠藤家、前田家が一堂にそろっている。もうこういうのはないと思う。婚約者の美里から、花とお供えが届けられている。もちろん未来と連名で…。


 法要中、黙り込んでいた子供たち。特に美紅なんて、優奈が美紅にプレゼントしたお気に入りのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめたまま、じっと座っていた。美紅は優奈が大好きだった。だってなかなか家に僕はいることができなかったからね。優奈との時間が長かったわけだし。何とか新しい妻になる美里にもなついてくれて、仲良く料理をしている姿を見てほっとしたけどね。


来週は神戸で結婚式。美里にとって待ちに待った結婚式なのだ。3月3日ひな祭り。未来と美紅の誕生日。その日に挙式することに決めたんだ。亡き妻優奈の遺影に手を合わせ、これからのことをわびるこの僕。できればずっと優奈が傍にいて欲しかったのは確か。幼馴染で初恋だった優奈。優奈を忘れることなんてできないよね。ほんとごめん。優奈が死んで1年しかたっていないのに、もう僕は新しい妻と結婚する。


きっと前田家の中には、このことに対してよく思っていない人がいるんだろうね。僕だって本当は、3年くらいたってからでもよかったんだけどね。これでも僕は遠藤家の養子息子であり、跡取りなんだから、早く妻を貰って、落ち着くほうがいいのだろうね。


ごめん、優奈。
ほんとごめん。
許してくれるかな?優奈なら…。