ミラー! (575)イベント
神戸で行われる、父さんのブランドのウエデイング内覧会。美里がモデルの一人として出ることになっている。もちろん最後の最後に最高級のドレスを着て春斗とともに出てくる。僕は招待を受けているから、リュヌのスーツを着込んで、指定された時間に会場であるクルーズ船へ乗り込む。受付を済ませ、一人さみしく海を眺めていた。だってさ、招待されているのは、結婚を控えたカップルばかりで…。ショーが始まるまで、リングやいろんな展示物を見ている。傍に美里がいれば…。
「どうした春希。」
この声は父さん。僕の横へ立って肩をぽんぽんと叩く。そして、リュヌの紙袋を手渡す。
「え?」
「これ、頼まれてたリングな。」
「あ、ありがとう。」
そういや父さんを通じて頼んであったんだ。この船で挙げる結婚式まであと3週間。ほんともうすぐなんだよね。
「春希、暇なら立花さんのところへ行ってもいいぞ。立花さんの控室は個室だし、お前がいても差支えないだろう。立花さんもそのほうがいいかもしれないしね。」
と言って僕を引っ張り、ある部屋の前へ。ドアをたたくと、ブランド関係者が顔を出す。
「会長!」
「立花さんの婚約者を連れてきた。入れてやってもいいかな?」
「は、はい。どうぞ、ほぼ支度が終わっていますから。」
といって、僕と父さんを招き入れる。ショーまであと30分。美里の出番までは1時間。準備は万端とは言えないけれど、あとはベールをつけるだけとなっている。美里はスタイリストとともに楽しそうに話している。
「ほほう…やはりそのデザインがお似合いだね。さすがトップデザイナーにデザインさせたものだ。これを着こなせるのも、立原さんだけかもしれないね。」
その言葉に振り向く美里。そして父さんのそばにいるこの僕に気が付く。
「春希さん…?」
とても恥ずかしそうのこの僕を見る美里。ヘアメイクは済ませてあるので、本当に本番みたいにきれいだった。座っている美里は、この僕にドレス姿を見せようと立ち上がる。とてもきれいなマーメードタイプのドレス。美里のようなスタイルだからできる格好。きっとこのドレスは美里しか似合わないだろうね。
「このドレスを結婚式に着たらいいよ。ジュエリーからすべて、この私から立原さんへプレゼントしますよ。」
と、父さんが言った。
「え?お父様…。こんな高価なものを…。」
「いいんだ。大切な春希の相手だからね。君が春希の相手でよかったよ。春希、春希はな、春斗が着るものとタイプが同じものを準備しているから。信州での挙式の時に着たらいい。本来なら、3月3日に着てほしかったんだけどね…。夏だろ?春斗が着るものとデザインは同じだが、生地を夏ものにしてあるから…。」
美里のドレスも、ちょっと信州の挙式用に改造するみたいだね。ほんと父さんは…。なんていうのかよくしてくれる。
「優希に、春希の結婚式を見せてやりたかったな…。きっと喜ぶだろうね。」
優希と言っても息子じゃなく、僕の母さん。僕が8歳の時に白血病で亡くなった母さんのこと。父さんにとって最愛の母さん。母さんが生きてたら・・・。どう思う?喜んでくれるかな。といっても僕は再婚だけどね…。
僕は今日受け取ったリングを美里に見せる。美里が若手デザイナーであり僕のいとこの悠太と一緒にデザインして作ってもらったリング。美里が思った通りのものが出来上がり、すごく喜んでいた。
「もう少しね、これをつけることができるのは…。」
「そうだね。」
「今日が本番ならいいのにね。ほんと楽しみ。」
とてもうれしそうで幸せそうな表情の美里。僕だってその表情を見たら幸せな気分になったよ。
「どうした春希。」
この声は父さん。僕の横へ立って肩をぽんぽんと叩く。そして、リュヌの紙袋を手渡す。
「え?」
「これ、頼まれてたリングな。」
「あ、ありがとう。」
そういや父さんを通じて頼んであったんだ。この船で挙げる結婚式まであと3週間。ほんともうすぐなんだよね。
「春希、暇なら立花さんのところへ行ってもいいぞ。立花さんの控室は個室だし、お前がいても差支えないだろう。立花さんもそのほうがいいかもしれないしね。」
と言って僕を引っ張り、ある部屋の前へ。ドアをたたくと、ブランド関係者が顔を出す。
「会長!」
「立花さんの婚約者を連れてきた。入れてやってもいいかな?」
「は、はい。どうぞ、ほぼ支度が終わっていますから。」
といって、僕と父さんを招き入れる。ショーまであと30分。美里の出番までは1時間。準備は万端とは言えないけれど、あとはベールをつけるだけとなっている。美里はスタイリストとともに楽しそうに話している。
「ほほう…やはりそのデザインがお似合いだね。さすがトップデザイナーにデザインさせたものだ。これを着こなせるのも、立原さんだけかもしれないね。」
その言葉に振り向く美里。そして父さんのそばにいるこの僕に気が付く。
「春希さん…?」
とても恥ずかしそうのこの僕を見る美里。ヘアメイクは済ませてあるので、本当に本番みたいにきれいだった。座っている美里は、この僕にドレス姿を見せようと立ち上がる。とてもきれいなマーメードタイプのドレス。美里のようなスタイルだからできる格好。きっとこのドレスは美里しか似合わないだろうね。
「このドレスを結婚式に着たらいいよ。ジュエリーからすべて、この私から立原さんへプレゼントしますよ。」
と、父さんが言った。
「え?お父様…。こんな高価なものを…。」
「いいんだ。大切な春希の相手だからね。君が春希の相手でよかったよ。春希、春希はな、春斗が着るものとタイプが同じものを準備しているから。信州での挙式の時に着たらいい。本来なら、3月3日に着てほしかったんだけどね…。夏だろ?春斗が着るものとデザインは同じだが、生地を夏ものにしてあるから…。」
美里のドレスも、ちょっと信州の挙式用に改造するみたいだね。ほんと父さんは…。なんていうのかよくしてくれる。
「優希に、春希の結婚式を見せてやりたかったな…。きっと喜ぶだろうね。」
優希と言っても息子じゃなく、僕の母さん。僕が8歳の時に白血病で亡くなった母さんのこと。父さんにとって最愛の母さん。母さんが生きてたら・・・。どう思う?喜んでくれるかな。といっても僕は再婚だけどね…。
僕は今日受け取ったリングを美里に見せる。美里が若手デザイナーであり僕のいとこの悠太と一緒にデザインして作ってもらったリング。美里が思った通りのものが出来上がり、すごく喜んでいた。
「もう少しね、これをつけることができるのは…。」
「そうだね。」
「今日が本番ならいいのにね。ほんと楽しみ。」
とてもうれしそうで幸せそうな表情の美里。僕だってその表情を見たら幸せな気分になったよ。